2014年12月19日金曜日

第994話 北の横丁をさすらう (その2)

仙台にいる。
「くろ田」という焼き鳥屋である。
頼んだのはサッポロ黒ラベルとオッツケのセット。
2杯目のビールを飲み干した頃、煮込みが目の前に。
豚もつのガツとシロに豆腐、その上に定番のきざみねぎだ。

これがほとんどコリアン風。
味付けはチゲ鍋と塩煮込みの中間といった趣きだった。
好みとはかけ離れてあまり嬉しくない。

やきとり5本というのは豚ハラミのあぶり焼きに替えることも可。
ここでちょいと迷った。
左隣りのリーマン二人連れはやきとりとハラミを一つづつオーダーし、
分け合ってつまんでいた。
右隣りのカップルの頼み方も同様だ。

こちらは何せ独り身だからねェ。
この二者択一は重要な岐路に立たされているも同然、
悩むのも仕方がなかろうヨ。
結局、見た目がより美味しそうなハラミにしてみた。

ところがこのチョイスは大失敗。
とにかく肉がいかんせん硬い。
量もたっぷり過ぎるほどあるから
途中でアゴが疲労骨折するくらいのものだ。
甘みが一切ない醤油ダレのほかに
おろした大根とニンニクが添えられていたが
噛んでる間にタレはノドを滑って、あとに残るのは肉の味だけになる。
いや、マイッたぞなもし。

隣りのやきとりを盗み見ると、
内容は鳥砂肝、豚ハツ、タン、レバ、ナンコツのようでいずれも大串。
やっとのことでハラミを八分目までやっつけ、
ためしにやきとりのレバを1本所望した。
かなりの大きさのレバーの間には長ねぎがはさまっている。
いわゆるレバのねぎまだけど、火の通し過ぎのためパッサパサ。
しかも血抜き不十分で手に、もとい、口に負えない。
こういうものは何と言っても東京の下町に如くはなし。

ビールから酎ハイに切り替える。
東京の酎ハイはレモンか梅風味が多いが
この店はそのどちらにも非ず、奇妙な味がした。

残ったハラミに再挑戦。
タレの表面に豚脂が白い粒を作り始めている。
何となく残すのは気が引け、冷め切った肉片をつまむ。
すると意に反してずいぶんと柔らかい。
大根おろしが肉の硬さを分解したのだろうか?
いや、まことに不可思議なり。
会計が2410円だったからセットは1200円くらいのハズ。
でも、オススメはしませんネ。

=つづく=

「くろ田」
 宮城県仙台市青葉区国分町2-11-23
 022-261-2637