2014年12月2日火曜日

第981話 巨星は星の彼方に (その6)

サードベストの「駅 STATION」である。
警察官の健サンは射撃の名手で
メキシコ五輪の候補選手だ。
劇中、東京五輪のマラソン銅メダリスト・円谷幸吉の自殺が
TV報道されて遺書が読み上げられたりもする。
かなりショッキングなシーンだ。
署員食堂で食事中の健サン、三白眼が画面に釘付けである。

3人の女優陣が大変重要な役割を担うが
その前に男優の共演者はというと、

大滝秀治、根津甚八、宇崎竜童、永島敏行、
池部良、田中邦衛、小松政夫、室田日出男、
武田鉄矢、阿藤海、名古屋章、織本順吉、
佐藤慶、寺田農、竜雷太、藤木悠、小林稔侍

キリがないからこのへんでやめるが
とてつもない顔ぶれであることがお判りいただけよう。

根津甚八と宇崎竜童が好演。
小松政夫の演技も心に残った。
武田鉄矢はほんのワンカットながら笑わせる。

さて3人の女優たちだ。
最初に登場するのがいしだあゆみ(直子)。
一度のあやまちを許されず、夫の高倉健(三上英次)から離縁される。
小さな男の子を連れて東京へ追われゆく、
銭函駅のプラットホームがもの哀しい。

ここでJ.C.はちょいとばかり違和感。
直子はどこからどうみても不倫をしそうな人妻に見えないのだ。
相手は出てこないが、いったいどこのどいつが一線を越えたのだろう。
旦那は道警のピストルの名手だヨ、こうなりゃ不倫も命がけだぜ。

二人目の女性は烏丸せつこ(すず子)。
増毛駅前の大衆食堂で働くウエイトレスだ。
彼女の兄が連続殺人犯の根津甚八。
町のチンピラ・宇崎竜童に弄ばれた挙句に堕胎。
しまいにゃ宇崎の裏切りで兄まで逮捕されてしまう。
知恵が少々足りないものの、兄を慕い、かばう気持ちは一途(いちず)。
彼女も哀しい生を健気に生きていた。

三人目は倍賞千恵子(桐子)。
健サンとは山田洋次監督の「幸福の黄色いハンカチ」、
「遥かなる山の呼び声」で共演し、息もピッタリである。
思い起こせば倍賞はご存知、寅サンの妹・さくら。
寅サン・健サンとこんなにたくさん共演した女優はほかにいない。

桐子はカウンターだけの赤ちょうちんを独り営む女将。
三上と出会っったのは暮れの12月30日で
翌日の大晦日に二人は結ばれる。
寡黙にしてストイックな警察官もけっこう手が早かったのである。

=つづく=