2014年12月24日水曜日

第997話 北の横丁をさすらう (その5)

一夜明けて気分は爽快。
前夜の酒が軽かったせいだろう。
基本的に朝食は取らないので午前の散歩に出る。

広瀬川のせせらぎが寒々しい。
水というものは冬に眺めるもんじゃないネ。
春になって水がぬるんでから岸辺にやって来ればいいんだ。
やはりこのシーズン、歩き回るのは町中がいい。

Yクンとのランチに待ち合わせたのは広東料理の「美香園」。
なんでも料理長はホテル内の飯店の出身で
上品な料理に定評があるとのことだった。

ランチメニューは日替わり(1種)が750円。
麺・飯類が11種類、定食が5種類あってともに850円。
とりあえず生ビールで再会を祝して乾杯。

興味を刺激されたのは”当店の人気メニュー”、ご披露しましょう。

■麺・飯類 各890円
 五目焼きそば 五目チャーハン 白胡麻担々麺
 海老野菜ラーメン 黒酢スーラータン麺

■料理 各780円
 黒酢のスブタ 鶏肉の辛子炒め 北京ダック」(2枚)
 国産牛バラ肉柔らか煮 熱々土鍋マーボー豆腐

結局、数ある料理の中から選んだものはすべて
この”当店の人気メニュー”からだった。
注文品はかくのごとし。
北京ダック、黒酢のスブタ、海老野菜ラーメン、五目チャーハン。

ホテル出身だけあって味付けや油の使用量はみなおだやか。
おだやかな中に隠された滋味がやんわり控えめににじむタイプだ。
都内にこういう中国料理店は少なくなったなァ。
中国人料理人の手になる安くて早くて小皿出しの店が
圧倒的多数を占めているものねェ。

この日の夕食はYクンともども共通ののみともであるFサン宅に招かれていた。
寒い季節となり、あちこちから食材が届いたってんで
当夜はイタリアンとおでん鍋の二本立てだという。

一旦、Yクンとは別れて18時過ぎにタクシーで向かう。
おう、おう、どちらにも合うように
酒も青森の地酒とトスカーナのキャンティが並んでいるじゃないか。
むろん相手にとって不足のあるはずがない。

なんかゴチャ混ぜの酒と料理ではあったが、
アレはアレでなかなか美味しかった。
何よりも友がいて酒があり、会話が弾めば、
もうそれだけで饗宴は大きな花を咲かせたことになるのだろう。

=つづく=

「美香園」
 宮城県仙台市国分町3-6-16
 022-262-0731