2015年5月1日金曜日

第1089話  レバをたっぷり食べたレバ(その7)

いきなり訂正であります。
西日暮里の中華屋におけるレバニラは
レバニラじゃなくって、ニラレバでありました。
そんな些細なことはどうでもいいってか!
そりゃそうですけど。

さて、目の前のニラレバである。

「P子、お前、コレどう思う?」
「うん、外したネ」
「ああ、外しちまったな」
「駄目じゃないかもしれないけど、ダメに近いでしょ?」
「ああ、駄目に近いよな、だから言ったろ、ダメ元だって―」

ほとんど会話になっておらん。

で、実際に食してみて、やっぱり駄目だ、
いや、ダメではないが冴えなかった。
これが店の推奨品なら
もう一つのオススメ、ラーメンだって推して知るべしであろうヨ。

壁には単品でレバ炒め(600円)、ニラレバ炒め(700円)とあった。
女将サンに訊ねたらニラの有無だけの違いだそうだ。
となれば、豚レバはニラより単価が低いということになる。
そう、今じゃモツより野菜が高いんだ。
昭和の時代にゃ夢にも思わなかった現実が
今ここにこうしてある。

もうちょい長居すべきか、せざるべきか、
迷う二人の真ん前で女将サンがアップルパイを取り出したぞなもし。
いや、我々にふるまうのではなく、
どうやら賄い後のデザートであるらしい。
比較的サイズの大きいソレはすでに3分の1ほど食されていた。

ここで女将が店主に訊いたネ。
「ねェ、どうやって切るの?」
3分の2になって円形が崩れているから切り方が判らないらしい。
「ん? 中心に向って包丁を入れるんだ」
この時点で客なんか(われわれですが)そっちのけである。

アップルパイを食べながら、老夫婦はTVのグルメ番組に夢中。
画面では鳥取県・境港市場の蟹にタレントたちがかぶりついている。
まっ、確かに旨そうではあるわな。

ニラレバに不満は残れども、
とにかくレバをたっぷり食べたことでもあるし、
ほかに何を追加するでもなく、お勘定。
おっと、忘れるところだった。
店の名は「万里(ばんり)」という。

小降りになった雨の中、相方に訊いてみた。
「口直しに『モス』でチーズバーガーでも食ってくかい?」―
口元から白い歯がこぼれたものの、
そこは利発な彼女、さすがに「ウン」とは言わなかったぞなもし。

=おしまい=

「喜多八 西日暮里店」
 東京都荒川区西日暮里5-21-4
  03-3801-5268

「万里」
 
 東京都荒川区西日暮里5-21-3
  03-3802-1240