2016年9月16日金曜日

第1449話 俺らはバカか? (その3)

アップが遅れ、失礼しました。

千葉県・松戸市の馬橋にいる。
たまたま遭遇した寺院は萬満寺。
何でも鎌倉時代に千葉市・稲毛で創建された真言宗大日寺が
室町時代に臨済宗の寺院として再興の際、萬満寺と改名された由。

神社仏閣の歴史は素人、いわゆる無神論者には
理解不能なところが多々ある、
わけのわからんまま、なおも調べてゆくと、
明治時代後期の大火で伽藍を焼失したとのこと。
新本堂が完成したのは昭和62年だというから、
J.C.がたびたびここに出没した時期よりあとだった。
そうか、そういうことか、ようやく合点がいった。

  ♪    誰もいない 誰もいない
     長い長い 孤独の夜よ
     寒い心に ひざかけまいて
     宛名のない 手紙を書くの ♪
        (作詞:なかにし礼)

八十路を超えた菅原洋一の「誰もいない」。
唐突にて失礼ながら
フジテレビ系列の歌謡番組「夜のヒットスタジオ」は
われらの世代にとって一世を風靡した感あり。

初代・司会者の前田武彦はあだ名付けの達人。
”三日前のハンバーグ”と称されたのが菅原洋一だ。
声楽をキチンと学んで
侘び寂びすら内包する歌声が列島に流れたのは1968年、
メキシコシティ・オリンピックの年だった。
この曲はレコード大賞の歌唱賞に輝き、
翌々年、「今日でお別れ」の大賞につながってゆく。

歌詞にある”心にひざかけを巻く”のは
奇妙にして至難の業なれど、
なかにし礼独自の世界らしくもある。
一番から三番まで歌詞の始まりは”誰もいない”。
なかにしサンは孤独を愛するタイプだネ、きっと。

おっとと萬満寺であった。
風格はあるけれど誰もいない
境内にたたずんだ15分の間、誰にも出会わなかった。
こういう場所に寺が建つのだから
界隈は室町時代の頃より栄えていたらしい。
おそらく当時はひなびた漁村に過ぎなかった江戸よりも。

JR常磐線・馬橋駅に舞い戻る。
都心に戻ろうか、それともヨソへ廻ろうか・・・
ここでふと思い出した。
ここからはもう一本、
時の流れに取り残された鉄道が走っていることを。

=つづく=