2016年9月27日火曜日

第1456話 こち亀タウンの北口にて(その2)

亀有北口の「吉田パン」。
この店のコッペパン・サンドには都内随一の折り紙をつけたい。
コッペの旨さは天下一品である。
比べるのもどうかと思うが
半世紀以上前に小学校の給食で食べたコッペの10倍は美味しい。

コッペサンドの包みを抱えてオモテに出たときに
前話で紹介した日本そば店「花かご」を見つけたのだった。
メバルの刺身については語り終えたので
メバルの二日前の昼食、大瓶のビールとCセットである。
これがよかった。
よかったからこその再訪で外したわけだ。

まずはCセット(1000円)の内容から。
ミニざるにはさらしねぎと粉わさび。
天丼は小海老が5尾にしし唐が1本。
豆腐・油揚げ・わかめの味噌汁。
べったら風たくあんとしば漬け。
なかなかの取り揃えであった。
おまけにサービスのさつま芋天ぷらが1枚。

実はこの時点でビールは注文していない。
昼めしだからと見送りを決めていた。
ところがアイスボックスにスーパドライがあるのを目ざとく見つけ、
どうにも我慢ができなくなったのだった。
「ビールは中瓶ですか?大瓶ですか?」―
訊かれて、もちろん大瓶を指名する。

そばは中太、そこそこのコシがあって歯ざわりがよろしい。
つゆは町場のそば屋にありがちな下世話な甘みを感じさせ、
好きなタイプである。
近頃、流行りのオサレに気取った、
そば店の洗練されたそばつゆはあまり好きではない。

そばの上をいったのが天丼。
コロモが厚いが旨い。
浅草辺りによくある昔風の天丼なのだ。
こういうのには久しぶりに出会った気がする。
食べてるそばから再訪して
もう一度食べたいと思ったほどだった。

忘れた頃に女将さんが
「突き出しですが・・・」―きゅうりと大根のぬか漬けをくれた。
小柄な彼女と大柄な店主はさながらリスとタヌキの夫婦である。

このとき来店したのが常連のヒルノミストだ。
そばを食わずにカツオとカンパチの刺身で
ボトルキープのそば焼酎を飲り始める。
カツオにはたっぷりの刻みねぎ。
傍目にも美味しそうで
二日後再訪の誘い水はまさにこれだった。

=つづく=