2016年9月23日金曜日

第1454話 鱸と眼張 (その2)

浅草で鱸に閉口した二日後、
「こち亀」の町、常磐線・亀有にやって来た。
此度は眼張である。

北口商店街をまっすぐ北上してゆくと、
極上のコッペパン・サンドで人気の「吉田パン」がある。
当店のコッペはふんわりしっとり。
他店のものとはまったく異なるタイプで
地域の人々に愛されている。
この日は3つも購入してしまった。

帰りぎわ、はす向かいの日本そばに目がとまった。
ちょうど昼めしどきのことで渡りに舟、ちゅうちょなく暖簾をくぐる。
Cセットをお願いした。
ミニざると小海老天丼の組合わせだ。
そしてあとからビール。
このことについては
前述の「吉田パン」ともどもあらためて紹介し直したい。

食べ終えてしばしくつろいでいると、
隣りの席に中年のオジさんが着席。
店の女将がそば焼酎のボトルを取り出してきた。
こりゃどう見ても常連サンの昼飲みですな。

続いて厨房から店主が運んできたのは刺身の盛合せだ。
これは品書きに載っていない。
ふ~ん、こういう店なんだねェ。
Cセットはよかったから刺身もイケるんじゃないか、
そう思ったことだった。

そのまた二日後、「花かご」に再びJ.C.の姿を見ることができた。
此度はまず駅前の焼きとん専門店「江戸っ子」で一杯。
「江戸っ子」は今話の主役じゃないので
前記の2軒とまとめて登場させたい。

二日前と同様にさっそくビールの大瓶。
突き出しはキンピラ、きゅうり&大根の浅漬け。
こちら常連ではないから店主に
「刺身は何かありますか?」―
おそるおそるというのではないにせよ、
遠慮がちに訊ねてみる。
「ございますヨ、盛合せましょうか?」―
明快な応えが返ってくる。
「ええ、お願いします」―
これにて第一関門突破の巻である。

はたして白身魚と貝の二点盛りが目の前に。
貝のほうはひと目で北寄貝と判る。
白身は食べてみなきゃ判らない。

一切れ口元に運んでまたもやガックシ。
これはおそらく眼張。
雷門の鱸ほどではないものの、やはり鮮度に問題がある。
何とか三切れほどヤッツケたが、あとは箸が進まない。
やれやれ、白身魚に連荘でやられちまったぜ。

教訓として残ったのは
そば屋・居酒屋において生モノ、殊に白身は避けるべし。
せいぜいタコやマグロのブツにとどめることが肝要なり。

「花かご」
 東京都足立区中川4-25-6
 03-3629-7529