2017年11月1日水曜日

第1734話 私を森下に連れてって (その4)

森下の「魚三酒場」にいる。
シャコわさでビールを飲んでいる。
江戸前モノがほぼ絶滅したシャコ。
瀬戸内か天草か存ぜぬが身がシットリと柔らかい。

シャコはヒドいのになると素材がよくないうえに
解凍の失敗が重なってパッサパサだもの。
その点、ここのは水準をクリアしてあまりあった。
値段からして稀有なことだ。

ハゼ天がやって来た。
つみれ汁も来たが、これは分けにくいので相方に任せ、
ハゼをパクリ。
おっ、いいじゃないの。
二口目は天つゆにくぐらせてみた。
おっ、これもいいじゃないの。
数年ぶりの訪問だが以前より美味しくなったようだ。

瓶ビールから日本酒の常温に切り替える。
銘柄は大関のからくち。
からくちは固有名詞である。
大関や菊正は裏切らないから安心して飲める。
何せ子どもの頃から親しんだ味だからネ。
いえ、そうしょっちゅう飲んでたわけじゃないけど―。

穴子のフライが登場。
世の中にありそうでないのが穴子のフライ。
エビやキスやイカは平気で
天ぷらとフライの二刀流になるのに
なぜか穴子だけはめったにフライ化しない。

記憶をたどっても築地場内の食堂、
「小田保」くらいしか思いつかない。
これは偶然なのだが同じ森下の洋食店、
「ブルドッグ」のメニューには載っている。
載ってはいるが二度注文して二度ともなかった。
これではやらないのと同じだ。

穴子フライはけっこうだった。
本モノの平目フライが消滅した今、
穴子にはその代役を務めてほしいものだ。
高価に過ぎる平目と違って
穴子はまだまだ庶民の味方である。

大関をお替わり。
つまみも何かもう一品いっておきたい。
選んだのはまたしても揚げ物の白魚かき揚げ。
刺身を食わずにフライや天ぷらばかり頼んじゃってるヨ。
でも、これまた当たりであった。

かっきり1時間の滞在。
こういう店で長居は野暮というものだ。
お勘定は3500円ほどだった。
ありがたいけど、いったい何なの、この安さは?

=つづく=

「魚三酒場 常盤店」
 東京都江東区常盤2-10-7
 03-3631-3717