2017年11月14日火曜日

第1743話 小雨降る日のはしご酒 (その2)

豊島区・巣鴨にいる。
いつの間にか「ときわ食堂 駅前店」が開業していた。
ちょいとのぞくと何だか狭苦しい感じ。
テーブル間の距離が詰まってリラックスできそうもない。
パスしてとげぬき地蔵のある地蔵通りを歩いていった。
ご存じ、婆ちゃんの原宿である、ここは―。
 
途中、そば屋や”なんでも食堂”で何度も迷ったが
居心地と使い勝手を重視して「ときわ食堂本店」へ。
ここは食事する客、飲む客が半々の、
過ごしやすい大衆食堂だ。
 
時刻は14時過ぎ。
窓際の小卓に案内された。
嬌声に振り向けば六人掛けに四人のママとも連。
すでに食事は終えた様子で
井戸端、もとい、食卓会議に花が咲いている。
 
かしましいグループが席を立ったのは15時半だった。
こちらも長居だから他人のことをとやかく言えないが
女は弱し、されど母は強し、
されどされどママ連はさらに強し。

スーパードライの大瓶で一息ついた。
この店はハーフサイズ・メニューが充実していて
小食派にはとても使い勝手がよろしい。
注文したのはまぐろ赤身刺し(350円)と
かきフライを2粒(520円)。
それに別売りのタルタルソース(70円)だ。

4切れの赤身は御一人様にちょうどよい。
スジが目立つものの、口にすると意外になめらか。
日本酒をもらって即席のヅケにしたいところなれど、
明るいうちはビールにとどめておきたい。

かきフライもみずみずしい。
壁に貼られたポスターには播磨灘産一年珠カキとあった。
数年前、根津にあった鮮魚店にて
兵庫県・坂越産の生がきを購入したことがある。
小粒ながら実に美味しかった。

播磨灘産かきは相生とか室津とか、
兵庫県下いろいろあるが、おそらく坂越じゃないかな?
坂越は赤穂浪士で世に知られた赤穂市東部に位置する。
町を流れる千種川の滋養をもとに
通常、成長に2~3年を要するカキが
1年で出荷可能となるそうだ。
これぞオイスター・ヌーヴォーでありますな。

=つづく=