2017年11月22日水曜日

第1749話 一球ファウル 二球目ヒット (その1)

ひと月ほど前に三球三振を食らった、にっくき京王線。
リベンジはいつのことになるのやら・・・。
そう思ったものの、機会はすぐにやって来た。

その日は御茶ノ水で一つの案件をこなし、
まだ陽の高いうちからフリーの身となった。
JR中央線の快速電車なら新宿まで10分少々。
腕まくりして、いえ、実際にまくりはしないけれど、
まあ、そんな意気込みで乗り込んだワケでした。

三球三振に抑えられれば
多少なりとも相手ピッチャーの研究をする。
確実な情報を得たのではではないにせよ、
何とかしたいと心に期するものはあった。

降り立ったのは京王線・分倍河原駅。
府中の一つ先になる。
元弘3年(1333年)、
この地で討幕派の新田義貞と幕府側の北条泰家が戦った。
1333年は鎌倉幕府滅亡の年。
中学時代、”一味さんざん”と覚えた記憶がある。

分倍河原の駅前に京成立石やJR大井町を思わせる、
懐旧の心をくすぐる一郭ありとの情報を得て
これは行かねばならぬ、そう決意を固めたのだった。

はたしてレトロな小路はあった。
ただしスケールはまことに小さい。
ホンの十数メートルの距離に
数軒の飲み屋が並んでいるだけだった。

しかも時間が早かったせいか、
開いていたのは「いっさ」なる立ち飲み酒場のみ。
ほかに選択肢がないから入店するしかない。
引き戸を引くとけっこうな賑わいだ。
立ち飲みといっても客はみんな腰かけていた。

いや、賑やかなワケだヨ、
客たちは競馬新聞片手に
TVの競馬中継にかぶりつきだもの。
殊に一人のオバちゃんが
ワァワァ、ワァワァと姦しいことこのうえナシ。
読んで字のごとく、独りの女が三人分騒がしい。
とにかくやたらめったら興奮してるんだ。
まっ、大衆酒場は活気があったほうがいいかもネ。
なぜか立って飲んでるのはJ.C.だけである。

カウンター内では店主が独りで切盛りしている。
スーパードライの中瓶とエシャレットをお願いした。
よく居酒屋でエシャロットの表記を見るが
あれはフランス料理に欠かせぬ別物。
エシャレットは若いラッキョウのことで日本独自のモノだ。

=つづく=