2017年11月6日月曜日

第1737話 私を森下に連れてって (その7)

江東区は深川エリアの北端、森下の町で
オッサン二人が飲んだくれている。
とは言っても互いに良識人につき、
周りに迷惑をかけることとてなく、
ましてや高歌放吟に及ぶはずもない。

さて「三徳」のカウンターの隅である。
3軒目の「三徳」とはずいぶん縁起がいいじゃないか。
ところがそうでもなかった。
店内がやたらに騒々しいのだ。

奥のグループは大目に見るとしても
われわれの真後ろにいる若者三人組のノイズがヒドい。
殊に女性の嬌声たるやすさまじい。
もしも手元にあれば、
キンチョールを吹き掛けたいくらいだ。

気を取り直して下町酎ハイというのを所望した。
つまみのチョイスをおおせつかったので
もつ煮込みを一つ、
焼きとんのレバたれ&団子塩を2本づつお願いする。

煮込みはグツグツとシズリング状態で運ばれた。
これが当店のウリなのである。
演出はけっこうなのだが
今回は食べてみて「おやっ?」であった。
もっと旨かった記憶があるんだけどなァ。

焼きとんにしてもごくフツー。
そのせいでフツーの店になっちまった、てな感じ。
心なしか酎ハイまでも「何だかなァ・・・」なのだ。
騒音に悩んでいたこともあり、
一杯だけで退散に及ぶ。

夜もそこそこに更けてきた。
そうは言ってもそれぞれの店に長居をしないため、
日付が変わるまで時間的余裕がある。
はて? どうしたものかのぉ。

菊川方面に歩いて「みたかや酒場」、
新宿線で西大島に行き「ゑびす」、
そんなところが近隣の気に入り店ながら
互いに「もう大衆酒場はいいや」、
かような厭世観にとらわれていた。

食べるモンはいいから
どこか静かなところでゆっくり飲みたい。
思いついたのは、たま~に出向くスナックであった。
良質の洋酒をキープしていることもあって決断する。

「どこ行くの? どこまで行くの?」
「それは教えられない、着いてからのお楽しみ」
相方の背中をメトロの車内に押し込んだのでした。

=おしまい=

「三徳」
 東京都江東区常盤2-11-1
 03-3631-9503