2018年12月6日木曜日

第2018話 佃に来たならレバーでしょ (その1)

そんなこんなを思い出しつつ、渡り切った佃大橋。
橋だもとの佃煮店「佃源 田中屋」をのぞくと、
”今年のいなご 煮上がりました”の貼り紙。
いやはや、今日はつくづく昆虫だネ。

住吉神社から佃小橋をそぞろ歩く。
この小橋を渡って思い出すのは伊丹十三監督の「あげまん」。
ラストシーンは橋の上を風鈴売りが通り過ぎてゆく。
風鈴売りも金魚売りも虫売りも、
豆腐売りでさえも、今や死に商いとなった。

佃大通りを真っ直ぐ、
佃仲通りの交差点で右折すると「亀印食堂」がある。
本日のセカンド・ターゲットがここ。
店先を何度も通っているのに入ったことがない。
見過ごしたというより、
失礼ながらタカをくくって見捨てたというのに近い。

古く良かりしたたずまいに惹かれるものはあった。
ただねェ、看板が”亀印うどん食堂”なんですわ。
うどんは滅多に食わんもん。
ところが調べてみると、うどん専門店ではないことが判明。
むしろ町の中華屋らしい。
どこからどう見ても中華には見えないけどなァ。

先客は単身が2人。
オジさんがざるうどんを食べている。
オネエさんはオムライスと何かどんぶりもの。
中華風のどんぶりだから親子丼・かつ丼の類いではない。
ちりレンゲを上げ下げしているので
ワンタンか野菜スープじゃなかろうか?
何のこたあない、
オムライスに付いてきた、ただの清湯だった。

生ビールをお願いすると
「瓶じゃだめですか?」―
調理も接客も独りでこなすオバちゃんに言われた。
「いいですヨ」―
遠慮じゃなくてホントに瓶でもかまわないんだ。

品書きに別段、これといった特徴はない。
田舎の駅前にありがちな食堂の品揃えといった感じ。
ごはんモノでは重いから炒めモノにしよう。
となれば、ここは佃、名物はレバーフライである。
さすがにフライはないのでレバー炒めを通す。
ニラレバ炒めもあったが
つい先日、大島の餃子屋でモヤシだらけのを食べたしぃ。

ビールはキリンラガーの大瓶。
最近はヤケにこれが多いな。
サービスのお通しは新香の小皿。
きゅうりの浅漬け&古漬けにかぶ&その葉っぱだ。
TVの刑事モノを観るともなしに観ながら
ちょいと苦めのビールをそれこそボ~ッと飲んでいた。
チコちゃんに叱られちゃうかもネ。

=つづく=