2018年12月26日水曜日

第2032話 裏切りのスリランカ (その1)

新宿区・四谷は大京町のアートコンプレックスに
10月初旬、スリランカ料理店が開業したと聞き及んで
オープンから2ヶ月後に訪れた。
年末にはディナーを始めるらしいが
現在はブッフェスタイルのランチ提供のみだ。
店名の「バンダラ ランカ」は
オーナーの姓名、そのまんまとのこと。

そう言えば、スリランカにはバンダラナイケという、
ともに首相になった夫妻がいたっけ。
夫のソロモン・バンダラナイケは仏教僧に暗殺された。
その後、妻のシリマヴォが
世界初の女性宰相として後継者になる。
それにしてもイスラム教ならぬ、
仏教の僧侶が暗殺者とは、にわかに信じがたい。

スリランカの旧国名はセイロン。
J.C.が子どもの頃、この国に抱いたイメージは
紅茶が特産の平和な島国だったが
思いのほかに流血の歴史を刻んでいたんだネ。

開業早々ブレークしたようで商売繁昌。
念のために予約を入れて参上した次第。
カフェを居抜いた店内は
コンパクトにして居心地のよい空間。
渋々ついてきた相方も満足の様子だ。

当国出身らしきフロア・マネージャー、
(おそらく彼がバンダラランカ氏だろう)
による料理の説明を殊勝に承って食事のスタート。
さっそくスリランカ産、
ライオンビール(1881創業)をお願いする。
スタウトもあったが、もちろんラガーでゆく
料理の並ぶボードを一めぐりして
ちょいとばかり拍子抜け。
目を引く料理がまったく無いじゃないか。

事前の調査で心惹かれたモノは
バナナの花とジヤックフルーツの若い果実。
これが両方とも不在につき、
訊ねてみたら入荷が遅れていて提供不能とのこと。
テーブルにガックリ肩を落とす哀れなJ.C.がいた。

気を取り直してプレートに少しづつ盛付けたのは
チキンカレー、ボラ(ボラ目・ボラ科)のカレー、
ナスとピーマンの炒めもの、
ジャガイモの煮っころがし風、
サンボールと呼ばれるチャツネ数種、
そして2種のライスは
薄紫の赤米とほのかなレモン色のスリランカ米だった。

=つづく=