2019年5月9日木曜日

第2128話 もうコリゴリの築地場外 (その3)

「幸軒」を空振って意気消沈。
ってほどでもないんだけど、とにかくこの苦界から逃れたい。
息苦しさに耐えかねて
どこか人口密度の低いところに避難しなければ―。

築地で働いている友人によると、
2016年秋に「築地魚河岸」なる商業ビルが建てられ、
仕事帰りにちょくちょく買い物してるとのこと。
ビルの3階には、場外のみならず、
場内にあった店舗まで出店しているらしい。

深く考えもせずに訪れると、
青空のもと、いや、この日は曇り空の下、
エスカレーターのお出迎えときたもんだ。
オープン・デッキの3階は天気のせいもあろうが
徘徊する霊長類の頭数は激減している。

館内は5軒の店が「魚河岸食堂」を形成していた。
これはちょっとしたフードコートだネ。
ぐるりめぐると、喫茶「センリ軒」、洋食「小田保」、
同じく洋食「東都グリル」、ラーメン「鳥藤」、
鮮魚「魚河岸海鮮」という陣容だ。

気に入りの店なので迷うことなく、
「小田保」のオープンキッチンカウンターへ。
瓶ビールはサッポロラガー、赤星である。
いつもはかきフライ&かきバター焼きのミックス定食を
注文するがGWにオイスターもないもんだ。
それに定食は重くてハシゴには向かない。

おとなしく、カニクリームコロッケ(450円)と
ホタテフライ(300円)を1個づつ。
中瓶1本の合いの手としてはこれでモア・ザン・イナッフ。
目の粗い生パン粉をまとい、カラリと揚がったところに
櫛切りレモンをキュッと搾り掛ける。
脇には不揃いな手切りキャベツと自家製タルタルソース。
蟹肉ギッシリのコロッケなれど、下味が好みでなく今一つだ。
そのぶん、立派な貝柱を超レアに仕上げたホタテが二重丸。
これは強くオススメしたい。

気分をよくして、このあとは月島→佃→深川の散歩コース。
と思いきや、遣らずの雨が落ちてきた。
そりゃ、深川はあきらめるけど、
ここにずっととどまるわけにもいくまい。

手っ取り早い至近の銀座へ移動して
夏物のシャツやこまごまとしたステーショナリーを購入。
ついでにデパ地下で肴を調達し、早めの帰宅と相成りました。
それにつけても今年のGWは、GWらしくないねェ。
ここ十数年、こんな天候不順はまったく記憶にないざんす。

=おしまい=

「小田保 魚河岸店」
 東京都中央区築地6-26-1 築地魚河岸小田原橋棟3F
 03-6278-8919