2019年8月2日金曜日

第2189話 老舗洋食 その成れの果て (その1)

1980年代初頭、金融界に身を投じたころの同僚、
通称・モグからメールが来信。
成行きから当然、久しぶりに1杯飲ろうということになる。
誰が名づけたか、モグなるニックネーム。
本間ゴルフのロゴ、あのモグラにそっくりだってんで
いつの間にやら英国人・日本人を問わず、こぞって呼び始めた。
当の本人も気に病むどころか、むしろ気に入りの様子。
まったくもって人それぞれである。

この10日ほど前、ニュージャージー帰りのコヅルちゃんと
銀座の「ローマイヤ」でランチしたことは紹介したが
彼女の夫のLou とモグは同期なのだ。
「来週はモグと飲みに行くんだヨ」―
話したらビックリしていた。
「よろしくお伝えくださいネ」―
もちろんだとも。

待合せたのは上野公園内、いわゆる上野のお山の「精養軒」。
歴史をさかのぼると1871年、
皇居前の馬場先門に西洋料理店を開いたのが当店の始まり。
不幸なことに開店の初日、火事にあって全焼する。

ほどなく外国人居留区でもあった築地に
「精養軒ホテル」を立ち上げたものの、
こちらも関東大震災(1923年)で焼失した。
ちなみに「上野精養軒」は1876年開業である。

ゆったりとしたロビーの床から懐かしいモグが顔を出していた。
てなことあるワケもなく、
実際はソファに深く腰をうずめていた。
実に15年ぶりの再会だ。
さっそくエレベーターで屋上、
といっても建物自体が3階建てだがネ。

3連休中日の日曜なのに天気はぐずり気味。
17時の開店直後ということもあってか
ビヤガーデンはガラガラである。
入口からかなり遠い、奥のテーブルに案内されたはいいが
いつまで経っても注文を取りに来ない。
サービスエリアは入口近くだからいちいち大声を上げねばならない
スタッフは学生アルバイト風ばかりで気配りなどあったものではない。
これは彼らの責任というより、教育及び指導の不行き届きだネ。

ようやく届いたスーパードライの中ジョッキをガッチンコ。
モグは面倒くさがって大ジョッキを所望したが
ここは<中>がマキシマム。
”飲み放題”を導入しているため、<大>はロスにつながるのだ。

最初のジョッキを運んでくれた女の子をしばし留め置いて
ビールのお替わりと料理を通した。
択んだのはロブスター・チリソース(税込み1580円)、
ベーコンと3種の野菜ピザ(同980円)の2皿。
そう、ピッツァでなくってピザだった。

=つづく=