2019年8月5日月曜日

第2190話 老舗洋食 その成れの果て (その2)

渋野日向子チャン
全英女子オープン 優勝おめでとう!
ダボで寝ないでホントによかった

さて、さて「上野精養軒」の屋上ビアガーデンにいる。
パンフレットによれば、
ここは「上野の森の絶景ビアガーデン」らしい。
絶景とは言えぬまでも確かに眺めはよろしい。
不忍池の向こう側、西空がほのかに明るい。
明日はいい天気になりそうだ。

お替わりの中ジョッキが到着したものの、
どういうわけかサッポロ黒ラベル。
一つのガーデンでアサヒとサッポロを併用するなんて
あまり聞いたことがない。
どうやら”飲み放題”が黒ラベルらしい。

アサヒに戻してもらったが鷹揚なモグは
「コレはコレでいいヨ、飲んじゃうから」―
自分の前に2杯のサッポロを並べたネ。
ほ~お、大人になったなァ。

15年ぶりの再会だ、積もるハナシは上野のお山より高い。
1980年代初め、われわれのオフィスは
港区・神谷町の第33森ビルにあった。
まずは当時の支店長、ポ-ル・バーナンドの近況から—。
実はこの人こそがJ.C.の名づけ親。
そしてわが半生において接してきた何百人もの外国人の中で
もっともリスペクトする人物が彼なのである。

3杯目(相方は4杯目)のジョッキとともに料理が運ばれた。
使い回しだろうがロブスターの真っ赤な殻を飾った、
チリソースの不出来に思わず曇天を仰ぐ。
何だヨ、コレッ! 常日頃、温厚な性格のJ.C.が色をなす。
ロブスターよりイカやアサリのほうが多いくらいで
肝心の味付けもぼんやりと、キレがまったくない。
オマケに皿の周りをエビセンがぐるりと囲んでやがんの。
もともとビアガーデンの料理に期待などしちゃいないが
それにしてもあんまりだ。

気を取り直してピザに手を延ばす。
昔ながらのにっぽんのピザはわりと好きである。
輪切りピーマンの彩りよく、オニオンがプ~ンと香るヤツ。
ところがどっこい、ピザもヒドかった。
鷗外や漱石もたびたび訪れた伝説の「精養軒」。
その成れの果てがコレではなァ。

スタッフにコンプレインしても始まらないから河岸を替える。
お山を下って上野仲町通りを流す。
ラムチョップで赤ワインでもと飛び込んだ店は
立ち飲みエリアしか空いていない。
立ったままでナイフ&フォークを使うのはイヤ。
だからこそ「いきなり!ステーキ」は未訪のままなのだ。

わりと馴染みの、その名も「赤提灯」へ。
フロアを仕切る当店名物のオバちゃんが相変わらず元気。
眼鏡越しに上目使いの両眼を光らせている。
長崎皿うどんをつまみに
ビール大瓶と芋焼酎のロックを2杯片づけた。
これから谷中に移動して行きつけのスナックである。
最近は酒量が減ってきているJ.C.ながら
まだまだ後輩にウシロは見せられんもん。

「上野精養軒」
 東京都台東区上野公園4-58
 03-3821-2181

「赤提灯」
 東京都台東区上野2-10-4
 03-3835-4966