2020年3月10日火曜日

第2346話 かつ前の上新香 (その2)

品川区・武蔵小山の「もち豚とんかつ たいよう」。
上新香でビールを飲みながら店内を確認すると、
夫婦と思しきお二人だけのオペ。
電話係どころか洗い場担当すらいない。
もっとも全8席とあってはこれでじゅうぶんだろう。

注文品はすでに決めてある。
一応、品書きに目を通しておいて
豚肉160g の上ロースカツ定食(2100円)を所望した。
ロースカツ定食(1600円)なら110g に減量されるが
目方の違いだけで肉質は変わらないから
上ロースでなく大ロースが正しい表記じゃないのかえ?
110g でじゅうぶんだが、あえて主力商品に挑んだ次第なり。

席が店主の真ん前で一挙手一投足がモロに見える。
かなりの厚さのロースが小麦粉をはたかれ、
溶き玉子にくぐらされ、パン粉をまとわされた。
手のベタつきを防ぐため、
溶き玉子への出し入れは千枚通しが使われる

注文とほぼ同時に小皿の新香が供された。
上新香マイナス高菜で変化に乏しい
何かもう一工夫ほしいところで
かつ前の上新香は余計だったかもしれない。

比較的低温で揚げられること10分余りで配膳
ロースカツ自体、それほど大きくは見えない。
皿にはキャベツのほか、パセリ1片とカットレモン。
具沢山の豚汁は3種の根菜とコンニャク。
ごぼうが最も存在を主張している。
硬めに炊かれた白飯は上々だ。

揚げ油はラードに何かブレンドされている感じ。
綿実か菜種か? わが味覚&嗅覚では判断しかねた。
卓上にはソース、粗塩、醤油、七味、練り辛子。
最重要のとんかつソースが甘め、別段の特徴はない。

日本各地で生産されるもち豚だが当店の産地を聞きそびれた。
良好な肉質ながら熱の通し過ぎで硬さを感じる。
それなりに美味しくいただいたものの、
評判ほどのすばらしさは実感できなかった。
他客の動向をうかがうと、注文のほとんどが上ロースカツ
うち半数がトッピングにメンチカツを追加している。

このまま都心に向かう気になれず、
目黒線を目黒駅で下車した。
山手線の内回りと外回り、はて、どちらにするかの?
一瞬、思案して外回りを選択、目白駅に降り立った。
先日、訪れた「ティジェッレリア ガタリ」の再訪である

幸か不幸か先客はゼロ。
またもやバーテンダレスと酒を酌み交わすことに―。
パンパンの腹はティジェッラも生ハムも受けつけない。
モレッティに始まり、スプマンテ、ネグローニと飲み継いだ。

ほどなく若い娘の二人連れ、
オバタリアン(死語か?)の四人組が立て続けに来店。
人は人を呼び、常連の男性客も現れた。
これを潮にプーリア州の赤で締めくくり、
夜は若干浅くとも、帰宅の途に着いたのでした。

「もち豚とんかつ たいよう」
 東京都品川区小山3-22-7
 03-3786-1464

「ティジェッレリア ガタリ」
 東京都豊島区目白3-4-15目白駅前ビルB1F
 03-6914-4554