2020年3月23日月曜日

第2355話 雨のち雪の午後 (その3)

足立区・西新井の「シルビア」に入店したところ。
ここ10年、いや20年、いやいやもっとだろう。
こんなにデッカい喫茶店は
記憶をたどってもまったく思いつかない。
フードコートだってこのサイズはなかなかないゾ。
しかも昭和の色と匂いを濃厚に残しているのだ。

「お好きなお席にどうぞ」―
ていねいな物腰のウエイトレスに促され、奥へと進んだ。
テーブルはすべて四人掛け。
花柄刺繍の赤い一人用ソファで統一されている。
ザッと数えておよそ30卓、120人収容の大箱ということだ。

メニューを丹念に吟味しながらも店内チェックは怠らない
新型コロナの影響が軽微なのか、半数の卓が埋まっている。
もっとも四人利用は少なく単身客が目立つ。
喫茶&レストランを前面に押し出すだけあり、
フードメニューが実に多彩だ。
定番のほかに、そば&うどん、季節の弁当ボックス、
はてはちゃんぽん&皿うどんまであった

決めた献立は、スーパードライ中瓶、
トースト(バター・ジャム付き)、ホットコーヒー。
コーヒーだけはのちほどの声掛けで通すと、
面立ち整ったウエイトレスに訊かれた。
「トーストはパンの耳を切ることもできますが・・・」
「それじゃ半分だけ切って」
「えっ、半分? 全部切るか切らないか、なんですが・・・」
「じゃあ、全部」
「ハイ、切りますね?」
「いや、全部残してくれる?」
何だか奇妙な対話だった。

ビールのつまみとしてかなりの量の柿ピーがサーヴされた。
柿ピー、いわゆる柿の種&ピーナッツだ。
ここでJ.C.、思わずニヤリ。
何となれば、今朝がたの「チコちゃんに叱られる!」。
柿の種のカタチが決まった理由をやってたからネ。

思い出し笑いをかみ殺しながらビールを飲んでると、
厚焼きトーストが登場。
うわっ、何だヨ、コレッ!
そのバカデカさはドカベンの弁当箱を想起させた。
3切れというより3個に切り分けられた1個づつが
雪印バターくらいのサイズじゃないか―。

焼きの浅い、耳まで食べられる、
フワフワのパンをどうにか1個半クリア。
ただし、バターじゃなくてマーガリンだから
塗りやすいけれど、ちっとも旨くない。

大きめのカップに入った、
風味豊かなコーヒーを飲みつつ反省。
昨今、喫茶店のトーストは安易な気持ちで頼めんぜ。
自分で自分を追い込むことになる。
上野の「王城」では往生したが
西新井の「シルビア」もまた、シビアな店だった。

「シルビア 西新井店」
 東京都足立区西新井栄町2-7-5
  03-3840-6111