2020年3月25日水曜日

第2357話 紺碧の空の下

ビールとザーサイと餃子を体内に注入し、
長距離散歩のスタートを切った。
目的地は江東区・門前仲町、かなりのディスタンスだ。
早いハナシが江戸川区と江東区をそれぞれ、
東西に横断、踏破することになる。
しかも門仲のあとは中央区・日本橋人形町、
途中でくじけぬよう、心してかからねば―。

中川&荒川に架かる清砂大橋経由で
永代通りを往くのが近道なれど、葛西橋を渡りたかった。
遠回りになるのも厭わず、葛西橋通りを択ぶ。
橋東詰手前で自然動物園を備えた、
江戸川区立行船公園に差し掛かる。
公園脇の日本そば店「ひまわり」で
すっぽんそばをいただいたのは昨年の2月だった。

風が強いものの、陽射しのおかげで肌寒さを感じない。
葛西橋を渡りながら見上げる空は真っ青。
早稲田大学の応援歌が耳朶にこだまし始めた。
し始めたが、つまらん歌詞につき、紹介を差し控える。

それにしても長い橋だが
大河をまとめて2本またぐのだから、さもありなん。
渡橋を終えてしばらく、
イオンのデッカいビルが見えてきた。
これさいわいと小用のお世話になる。

昼めしどきに液体をインプットすれば、
ほどなくアウトプットが誘発される。
これを世の人は自然現象と呼ぶ。
くだらねェこと書いてないで先へ進め! ってか?
へェ、ごもっとも。

その後、心なしか身体が軽くなり、
(たぶん600 cc、もとい、600gくらい)
葛西橋通りを外れ、イオンの裏手に回った。
ここで図らずも遭遇したのが
元八幡と仙家稲荷の旧い商店街である。

いやあ、いいねェ、いいですねェ。
古く良かりし面影がそこかしこに残っている。
永井荷風も歩んだという道筋を初めて歩く。
思いもよらぬ幸運に胸は弾み、心が躍った。
これだから町歩きはやめられないんだ。

江東区役所を抜け、東陽町の交差点で永代通りに―。
木場を経て門前仲町に到達したのが15時05分。
3時間半の長きを歩き通してきた。
呑み助にとっては門仲のランドマーク「魚三酒場」。
その脇の路地に入ってすぐ右手のビル2階へ。
都内屈指の立ち飲み酒場「ますらお」が此処にある。