2020年3月18日水曜日

第2352話 ポテトチックにたそがれて

コロナ野郎のせいで人波失せたエンコの街を歩く。
六区からホッピー通り、
新仲見世を経て馬道を横断し、花川戸の隅田公園。
大川の向こう岸にどうしても好きになれない、
バッド・デザインのタワーが屹立している。

そろそろ燃料補給をしなければ―。
通常は「神谷バー」の2階に上がるところを
この日は吾妻橋を渡り、
アサヒビール直営の「TOKYO 隅田川ブルーイング」へ。

ここで飲む生ビールは東京で一番。
そりゃ雰囲気じゃ、前述の浅草1丁目に加えて
東京最古のビヤホール、銀座7丁目にゃかなわぬが
ビール自体の美味さは群を抜いている。

♪   目を閉じて 何も見えず
  うれしくて ノド通せば ♪

スバルしくて、もとい、スバラしくて
これ以上のシアワセはございませぬな。
愛飲する氷点下のエクストラコールドを通す。
此処ではほとんどつまみを取らぬが
ポップに惹かれ、飛騨牛コロッケを1つ所望した。

ふ~む、飛騨牛ねェ。
はるか42年前、飛騨高山の洋食店で
この牛のフィレステーキを奮発したが
味はまったく覚えちゃいない。
 
もっともコロッケではミンチがちょっと混ざるだけ。
銘柄牛の効果も限定的だろう。
幸いに生との相性よろしく、お替わりを促された。
いえ、もちろん、生のほうをネ。
滞空時間は20分に過ぎなかった
 
たそがれ迫る隅田川。
西空に茜雲なくとも爽快な気分で吾妻橋を渡り返す。
この橋の西詰にはまたまた前述、
浅草1丁目1番地1号の「神谷バー」が
エントランスを開いて待っている。
 
やっぱり素通りはできないや。
いつものように2階へ上がり、中ジョッキを―。
当店の手頃なつまみは串かつかポテトサラダだが
前者じゃ、先刻のコロッケと揚げもので重なる。
かといって後者だと、じゃが芋がカブる。
 
結局、択んだのはポテトサラダ。
たそがれどきのエンコの街につき、
ポテトチックにたそがれてみた次第なり。
 
「TOKYO 隅田川ブルーイング」
 東京都墨田区吾妻橋1-23-36
 03-5608-3831
 
「神谷バー」
 東京都台東区浅草1-1-1
03-3841-5400