2020年3月27日金曜日

第2359話 中継ぎは 鯛や平目の 舞踊り (その2)

下町随一の立ち飲み酒場「ますらお」にて
すだち欲しさに生搾りすだちサワーを所望したところ。
プレモルのロゴが入ったジョッキで運ばれた。
想像した通り、氷上で半割りすだちが溺れかかっている。
口からあぶくを吹き、息絶えだえの様子だ。
おっと、これはすだちのあぶくじゃなくて炭酸の泡でした。

すばやく箸でつまみ、すだちを水揚げする。
よお~く水気を切り、真鯛の上に搾りかけた。
これでわさびとはまた違った美味しい食べ方ができる。
おもむろに一箸つけて大きくうなづく。
もちろん、すだちサワーと相性の悪い道理がない。

やはり人気店、客足の伸びが鋭い。
15時半にならないのに入店者は20人近い。
ただし、その大半が若いカップルだ。
上から目線で申し訳ないが
この連中に生の本わさびの価値は判るまい。
おそらく、口にしたことすらないだろう。
まっ、ある意味、知らないことはシアワセなんだがネ。

真鯛とすだちサワーに満足して
サントリー知多のハイボールに切り替える。
このグレーン(穀類)ウイスキーは好きだ。
そうしてもう1品、同じ生モノから択ぼう。
本わさがなければ、ぶり刺しの線は消えた。
鰯のたたきの気分でもないし、
残るは平目薄造りか、かつお刺しとなる。

薄造りは当然ポン酢、かつおは生姜だろう。
生のニンニクが有ればかつお、無ければ平目。
そう心に決めて訊ねると、残念ながらニンニクは不在。
かつおはニンニクが無いと美味さ半減だからネ。
平目をお願いし、これにて今宵の独り宴席の余興は
鯛や平目の舞踊りに確定。

整った平目は薄造りというより薄めに切られた刺身だ。
包丁人も刺身を自覚してか、
真鯛と同様のあしらいに、くだんのエセわさび。
ここは甘さが気になるポン酢でしのぐほかなかった。
すだちはすっかり搾り切ったし、
そのためだけにサワーのお替わりは得策といえない。

代わりに知多ハイをお替わり。
ホールの奥のTVで横綱・白鵬の土俵入りが始まった。
白鵬は大好きな力士だが
昨日(13日目)の正代戦はヒドかったな。
張り差しは真っ当な技だけど、
あの張り手連発はいただけない。
横綱らしくないし、白鵬らしくもない。
朝青龍じゃないんだからサ、ったく。

エニウェイ、2時間後の朝乃山戦は見逃せないぞ。
そんなことを思いながら
知多ハイを飲み干してのお勘定は3390円でした。

「ますらお」
 東京都江東区富岡1-5-15 伊藤ビル 2F
 03-5809-8256