2020年5月14日木曜日

第2393話 西武新宿線に乗って (その1)

隣り近所に目立たぬよう家を出てJR山手線に乗った。
高田馬場で西武新宿線に乗り換え、
向かった先は中野区・野方である。

いつぞや、沿線に棲む友人とやり取りした際、
話題が当地の「野方食堂」に及んだ。
彼はよく利用するとのことだが
J.C.は11年前のやはり5月に一度行ったきり。
そのときの評価は極めて低いものだった。

友人の推奨もあることだし、
医療も居酒屋も傷んでいる今、飲める食堂は貴重。
当日の営業を確かめたうえで出向いた。
リノベーションでもしたのだろうか、店内がきれい。
テーブルはすべて二人掛けだが
グループの来店には卓のくっつけが可能だ。
フロアの奥、TVの真下の壁際に着席。

ビールは生も瓶もサッポロ黒ラベル、ともに570円。
中ジョッキを通した。
名物は何かのコンクールで受賞したという鳥の唐揚げ。
1個(120円)から注文できるので2個お願いする。
加えてなすのぬか漬け(140円)を―。

ジョッキと一緒に来たなすは完全な古漬け。
とてつもなく酸っぱく、しかも異常に塩辛い。
おまけに匂いまでキツいときて、いや、マイッたな。
早くも逃げ出したくなったが練り辛子と醤油を駆使し、
液体の力も借りて挑んだ。
挑んだものの、半分やっつけたところでギヴ・アップ。

「グラスは要らないヨ」―
接客のアンちゃんに告げて中瓶に移行する。
空いたジョッキにトクトクトク。
J.C.も読者も既視感があるのは当然。
広小路の「井泉本店」で同じマネをしたばかりだ。

あちらがキリン、こちらはサッポロ、
加えてジョッキのデザインがディファレント。
しかし、計量の結果はまったく同じ375ml 。
カルテルだか談合だか、ビール業界もワルよのぉ。

熱々で来た受賞作の唐揚げは不デキ。
ガシガシのコロモはどうにかならんかい?
肉質、下味どちらもエリカじゃないけど、ベツに―。
重ね重ね当店とは相性が悪いや。
この唐揚げ、どんな賞をもらったんだ、ブービー賞か?

なすすべもなく、音の出ないTVを見上げたら
新婚さんを前にして桂文枝が
得意のイスコケをバッチリ決めておりました。
オヨヨ!

「野方食堂」
 東京都中野区野方5-30-1
 03-3338-7740