2020年5月21日木曜日

第2398話 またカニを食ったんだガニ (その1)

長谷川町子生誕100年とやらで
「サザエさん」特別号が書店に並んでいる。
その光景から頭をよぎったのは
サザエさん通りのある世田谷区・桜新町だ。

このご時世だけれど、例によって週末に遠征し、
サクッと食べたら、もっぱら散歩に傾注して
”長距離ウォーカーの孤独”をかみしめよう。
そう、思い立ったのである。

到着したら自粛休業なんて悲劇に見舞われぬよう、
事前に業の営・休を確かめるため、電話を入れた。
候補に挙がったのは2軒で
1軒目、町中華のオバさんは
「ええっと、土曜日はお店、開けないと思います」
「ですよねェ、それじゃまた」

2軒目、洋食店の女将さんはチョー元気。
「どちら様?」
「いや、単なる客ですが今週土曜は開けられます?」
「いえネ、それがアナタ、百合子さんがああ言ったでしょ。
 だから開けられないのヨ、あっ、お電話どうもありがと。
 だけどウチみたいな小さいとこでアレ出しちゃったら
 もう、おしまいだもの、町中閉まってるのヨ。
 夏までムリじゃないかしら?」
「ですよねェ、じゃ、落ち着いたらうかがいます」
「そう、そうしてちょうだい、待ってますからネ。
 あっ、お電話わざわざありがとう、ありがとネ」
だって―。

速射砲にたたみかけられ、呆気にとられながら
本人に逢いたくなったのも事実。
夏になって落ち着いたら逢いに行くヨ。
すると、耳朶に荒木一郎の歌声が響き始めた。

♪   淋しさに 一人書く置手紙
  宛先はほろ苦い友達さ
  横書きの白い地の便箋は
  愛を記したときもある

  BYE BYE まだ 夢のようさ
  BYE BYE 君 ドアを閉めて
  思い出の紫蘭の花
  庭の隅に埋めたよ

  BYE BYE 君 すぐに行くよ
  BYE BYE BYE MY LOVE 
  君と同じとこへ
  BYE BYE MY LOVE 夏になれば
  君のいる処へ 君のいる処へ・・・  ♪

「君に捧げるほろ苦いブルース」が世に出たのは1975年末。
師走の東京の街には「シクラメンのかほり」が流れていた。

=つづく=