2020年8月7日金曜日

第2454話 二球空振りの辻堂 (その2)

湘南辻堂地下道南口なる、
大仰な名前のトンネル入口の前、
「蒸氣屋」のこれもまた入り口、
テラスみたいな席でビールを飲んでいる。
お通しは茹で立ての枝豆。
国府津の「餃子ショップ」もそうだったが
神奈川県民は枝豆がお好きとみえる。

”蒸氣”を謳うわりには
スティームものの料理が見当たらず、
どちらかというと最近流行りの肉バルに近い、
独りならまず足を踏み入れないタイプの店だ。
通した料理は3品。
レシートにあったままの名称で紹介する。

自家製鶏白レバーのブリュレムース バゲット添え 680円
生本マグロの握り”中トロ2貫” 350円
国産A4和牛のグリル~カイノミ~ 1880円

以上は税抜き価格。
ムースの見た目はクレーム・ブリュレそのもの。
ん? この甘さは何だ?
第一感はポートワインだが日本酒の香りもした。
酒粕でも使っているのだろうか?
くだんのS帆チャンに問うと、
「訊いてきま~す!」

店長兼シュフを連れてきた。
彼曰く、
「ポートワイン、マデイラワイン、VOを使ってます」
ふ~ん、なるほどネ。
VOは廉価なブランデーである。
バゲットに塗りたくって美味し。

マグロは小田原の早川あたりから入るのだろう。
良質な中トロが酢めしにかぶさっている。
これが2貫で350円はお値打ち。
マグロとは逆に脂身のないカイノミは
赤身肉の味わいじゅうぶん。
牛の脂を好まぬわれわれには恰好の部位だ。

カールスバーグの小瓶3本は
またたく間にカラとなり、飲みものの切り替え。
当方は、辻堂風香る知多ハイボール。
相方は、和ヒートだとヨ。

モヒートのアレンジ版はミントの代わりに大葉、
ライムの代わりに梅干しを使い、ベースは焼酎かな?
テイスティングしたら子どもの頃に噛んだ、
森下仁丹のうめぼしガムにクリソツだった。

さわやかなスタッフの応対に
気をよくしての会計は7000円ほど。
飲み直すため、駅寄りの焼きとん屋へ向かう二人でした。

=つづく=

「蒸氣屋」
 神奈川県藤沢市辻堂1-9-1
 0466-52-4299