2020年8月10日月曜日

第2455話 二球空振りの辻堂 (その3)

二球続けて空振った辻堂だが
三球目は素直に打ち返してセンター前ヒット。
そして第二打席に入ったところだ。
マウンド上は「酒場ふりだし」。
国府津・熱海・辻堂とめぐりめぐって
結局は薬局、ふりだしに戻ったことになる。

おう、おう、店内は活気ムンムンだ
焼きとん店としてはかなりの大箱で
カウンターに陣取りたかったが
ソーシャル・ディスタンシングを保つため、
奥の小上がりに案内された。

ゆったり落ち着いたものの、
隣りは卓をくっつけた宴会の真っ盛り。
幼児も入り混じって2家族合同だ。
上野のアメ横あたりでバカ者ども、
もとい、若者どもによるノーマスク、
マナーレスの乱痴気騒ぎを見慣れてるせいか
あまり気にならない。

ビールはサッポロ赤星の大瓶。
釜揚げしらすとサニーレタスのサラダに
醤油ドレッシングがかかったお通しは
シンプルなしらすおろしでじゅうぶんだけどな。

もっぱら焼きとん屋では焼きとんに注力し、
他はほとんど取らない性分。
ハラミを塩、レバをタレで2本づつお願いすると、
味付けはおまかせとのこと。
最近、こういう店が多くなったので別に異存はない。

結果、どちらも塩で来た。
皿の端に奇妙な薬味が添えてある。
先刻の「蒸氣屋」のS帆チャン同様に
感じのよいオネエさん曰く、紅生姜味噌とのこと。
刻み紅生姜んと味噌を合わせたものは初めて目にする。
う~ん、あまり美味くないねェ。
 

大瓶のお替わりとカシラを2本追加。
予想通りに塩で来たけれど、何だかみんな塩だな。
くだんのオネエさんによれば、
シロとツクネはタレだそうだが
今宵はどちらもすでに売切れ。

それからしばらく、焼き手の店長が現れた。
「つくねが1本残ってまして、こちらタレですっ!」
ありがたく分け合った。
大ぶりな焼きとんは繊細な火の通しが秀逸。

2軒立ち寄っただけながら
辻堂の飲食店は店長も接客係もナイス・ピープルばかり。
「また来てくださいネッ」
彼女の笑顔に送られて気持ちよく駅へ向かいました。

=おしまい=

「酒場ふりだし」
 神奈川県藤沢市辻堂1-4-28
 0466-35-8089