2020年8月25日火曜日

第2466話 近頃は 鶏白湯が 流行りとて (その1)

梅雨が明けて連日アチチ、アチチの或る日。
インバウンド・ツーリストが絶えて久しい、
浅草新仲見世を歩いていると、
向こうから見知った顔が歩いて来る。
観音裏の飲み屋で何度か顔を合わせたSチャンだ。
ヨォ~ッとなって、ちょいと飲むことに―。
いや、互いに裸顔(らがん)だからよかったけど、
マスクしてたら判らんかったヨ。

ラーメン好きのSチャンはいつもラーメンの話ばかり。
カラオケですら、
こまどり姉妹の「ラーメン渡り鳥」を歌っちゃう。
彼曰く、近頃は鶏白湯がブームとのこと。
支那そば・中華そばが好きなJ.C.だが白湯はいいネ。
魚粉なんかよりずっといい。

推奨店を訊いたら 御徒町「案山子」と日暮里「ぶらり」の2軒。
なあんだ、どちらも行ってるけど、鶏白湯は食べてないや。
翌週、これもアッチイ日に御徒町へ。
「案山子」は二度も訪れている。
鶏清湯の塩と醤油を食べて
しょっぱいスープに苦労したが塩のほうは気に染まった。
券売機の前に立ち、鶏白湯の塩(850円)をポチッ。
縁(ふち)の手前が低く、向こうの高い、
傾斜のついたどんぶりが相変わらずオサレだ。

具材は各麺ほとんど一緒で
チャーシューは脂の少ない肩ロースと鶏胸肉。
きざみ玉ねぎ、炙り姫竹、蓮根、貝割れ。
青味だけが異なって
鶏清湯塩が水菜、鶏清湯醤油は三つ葉だった。

浅草「開化楼」に特注した麺は太さが択べる。
一番人気は全粒粉入りの細麺(140g)だが
男性客に限っては増量同値の中麺(180g)の由。
J.C.は当然、細麺だけれど、後客5人もすべてが細だ。
ストレートの麺はかなりの硬茹で強烈なコシ。
パスタのアルデンテより激しく歯を押し返す。
最後までノビることがなかった。

スープはサラリとした清湯に対し、 白湯はヌルリ。
心なしか清湯に比べて塩気が薄い。
卓上の七味・酢・黒胡椒で味変を試み、
完飲したが ペッパーミルの目が粗く、もっと細かいほうがよい。
それに此処のラーメンには黒胡椒ではなく、白が合う。

3タイプいただいて、しょっぱいけれど清湯塩が好み。
レモンの香りのお冷やを飲みながら、そう思った次第なり。
さて、次は日暮里である。

=つづく=

「案山子」  
 東京都台東区上野6-2-11  
 03-5826-4066