2020年8月19日水曜日

第2462話 目黒新橋のたもとで

不動前のワイン角打ちをあとにして
山手通りを真っ直ぐに北上し、
大鳥神社で目黒通りと交差する十文字に到達。
左に曲がれば金比羅坂だが
右折して権之助坂方面へ向かう。

目黒川に架かる目黒新橋のたもとに
百日紅(さるすべり)の落花狼藉。
人形町にある老舗江戸前鮨屋「K」、
厠(かわや)にあった貼り紙を思い出す。

散らすなよ 吉野の花も 散れば汚し

橋のたもとに二匹目のドジョウがいた。
「ワインマン ストア」同様、
「もつ焼き ひろや」も初訪である。
通りすがりに見つけたのは数ヶ月前だから
わりと新しい店舗であろう。

カウンターとテーブルの配置が変わった造作。
週末とはいえ、16時前なのに、けっこうな客入りだ。
席は9割方埋まっている。
かなりの”密”ながら、焼き手の正面に落ち着いた。

ビールは生も瓶もキリン。
一番搾りの中瓶は通したが
接客の手が回らずに串の注文を取ってもらえない。
焼き手に直接、オーダーするわけにもいかず、しばし待つ。

ようやく発注かなって
塩・タレの指定に及んだら 味付けはおまかせとのこと。
先日の辻堂「酒場ふりだし」もそうだった。
最近はこの手の焼きとん屋が幅を利かせているらしい。

最初にシロが焼き上がった。
ややっ、何だこれは!
見覚えのある赤茶けた物体は紅生姜味噌じゃないか―。
おう、おう、これまた「ふりだし」と同じだヨ。
こんな偶然はあるハズもなく、出どころは一緒だろう。
「秋元屋」系かな? 

いずれにしろ、ヘンなものが流行りだしたもんだ。
眺めていると、この味噌をつまみとして
舐め舐めする客が少なくない。
まっ、人それぞれの好き好きだかんネ、こういうものは―。

軽くタレをくぐらせたシロ自体は悪くない。
いや、旨い。
ラガーの中ジョッキを追加し、
2本目のハラミに挑んだら薄塩がよい。

お次のレバはタレで食べたかったが強めの塩がなかなかだ。
締めは春夏限定の谷中だんご。
谷中生姜につくねを巻いたものはタレで来て
これは着想、仕上がりともにグッド。

昔ながらの焼きとんが好きだが
進化するニュー・ウェーヴも捨てたもんじゃない。
次回の理髪後に再び「ワインマン」から流れる予感あり。

ひろや」  
 東京都目黒区目黒2-8-7  
 03-6417-9151