2021年3月24日水曜日

第2617話 ザ・ウーマン・フロム・NY (その4)

吾妻橋「どぜう ひら井」は通算10回目。

不動のどぜうメニューはいつも通りだが

脇役陣は普段の3分の1程度に縮小されている。

いわしの三杯酢、江戸前小魚の天ぷら、

ともにいっとき、その姿を隠していた。

これもみなコロ助野郎のせいだ。

 

互いにしこたまビールを飲んできたため、

此処ではハナから相酌で冷酒。

京都・伏見の玉乃光純米吟醸である。

突き出しは、かつおの酒盗おろし。

相方がこのわたに目がないので即発注。

どぜうは、抜き鍋→丸鍋→天ぷらの順に

三段構えでお願いし、生玉子も忘れずに―。

 

ほどよく煮えた抜きをパクリとやった元ママ。

「美味し~い! このあいだ食べたのと全然違う~ぅ!」

何処で食ったか訊ねると、千葉から来た姪っ子夫婦が

うなぎを食べたいってんで

伝法院そばのうなぎ屋に連れてったら

旦那がどぜうもリクエストした由。

 

うなぎ屋の出すどぜうはせいぜい柳川どまり。

伝法院のそばなら「K」に相違なかろうが

そもそも、どぜうはうなぎ屋で食うもんじゃないんだ。

どぜうとうなぎじゃ、施す江戸前シゴトがまったく違う。

 

抜きのどぜうは途中から溶き玉子をくぐらせる。

格好の味変になるし、

割り下が煮詰まり、しょっぱくなってくるからネ。

丸どぜうのサイズはかなり小ぶり。

頭も中骨も食べるからデカいと口中に不快感をもたらす。

天ぷらも堪能し、元ママは相好を崩していた。

 

300ml入りの冷酒を5本は空けたかな?

ほどよく酔いが回り、20時近くとなってお開き。

歩いて帰る相方に吾妻橋の西詰で

ちょいとキツめのハグをして手を振った。

 

雷門前から都営バスに乗り込む。

三ノ輪の大関横丁までは覚えていたが、そこから爆睡。

ハッと気づいたときにゃ、終点の池袋駅東口と来たもんだ。

せっかく来たんだ、酔い覚ましに美久仁小路をぶ~らぶら。

年末に迷い込んだコリアン・ママのいる、

スナックもまだ営業を再開していなかった。

 

徐々に頭と身体がシャキッとしてくる。

駅に戻って山手線外回りに乗り、帰宅の途。

車内はガラガラだがグルリ一周は勘弁と、

立ちん坊を貫いてたら頭の中で岡林信康が歌い出す。

 

♪  工事終ればそれっきり

  お払い箱のおれ達さ

  いいさ いいさ 

  山谷の立ちん坊

  世間うらんで 何になる ♪

 

明日は焼酎を飲もうっと―。

 

=おしまい=

 

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