2021年5月20日木曜日

第2658話 ウィンブルドンと国技館

西日暮里から王子にたどり着き、お食事処の探索。

だけど時間が時間だから、なかなか見つからん。

王子のランドマーク、大衆酒場「山田屋」は休業中だが

その並びに客の出入りの激しいパン屋があった。

ピカリひらめくところあって入店。

 

2階にカフェを併設する「MEIJIDO」の1階は

かなりの“密”ながら客たちは黙したまま、

トングでパンをつまみ上げては、トレイに移している。

光景がジョナサン・デミの「羊たちの沈黙」を連想させた。

 

ウィンブルドンなるパンがあった。

細くて長いソーセージをはさんだホットドッグだ。

ネーミングの由来に想像もつかないまま買った。

ロンドンにいた1970年代初め、

ディストリクト・ライン終点のウィンブルドンから数駅手前、

パーソンズ・グリーンに棲んだことがある。

 

JR京浜東北線のガードをくぐり、音無親水公園へ。

まいばすけっとが近くにあり、ドライのロング缶を調達。

川岸の大石に腰掛け、プシュッとやってウィンブルドン。

本日のランチはこれでおしまい。

ひらめいたんだから仕方あるまい。

 

今日も早めに帰宅して大相撲中継を観るとしよう。

王子駅から上りに乗車した。

この時間、田端―品川間は快速運転。

ここでまたひらめき、田端で各駅に乗り換えず、

そのまま次の停車駅、上野に向かう。

 

狙いはecute内の駅弁屋にある“国技館やきとり”。

2年ほど前に販売開始された商品は

両国国技館内の地下で調製されている。

製造元の国技館サービス株式会社は

長きに渡り、桟敷席を楽しませてきたのだ。

縁の下の力持ちとはまさしくこのこと。

 

ずいぶん昔、今は亡き盟友と交わした会話を思い出す。

「J,C,、両国国技館のやきとりって美味しいのよネ」

「みんなそういうけど、相撲を観に行ったことないんだ」

「エエ~ッ、真向いに棲んでて国技館に行ってないの?」

「いや、国技館に入ったことはあるヨ」

「いったい何の用で?」

「神取忍(かんどり・しのぶ)の女子プロレス」

「ナニソレ、アハ、アハハハハ!」

「ほっとけや・・・」

 

上野駅構内の「駅弁屋 匠」に駆けつける。

「国技館やきとり、まだ残ってるかな?」

「はいっ、こちらが最後の一つになります」

「おう、よかった、これ食べながらTVの大相撲観るんだ」

「わぁ、いいですネ」

「オシャレでしょ?」

「ええ、とっても」

 

箱を開けるといつも通りに、もも肉3、つくね2の計5本。

薄味のタレがしみている。

おや? 以前より味がオチたんじゃないかな?

しかも発売時は600円だっのに

2019年10月、消費税が10%に引き上げられた際、

一気に700円となったのは便乗値上げの極みと言えよう。

 

ここまでくると、国技じゃなくて、アコギじゃないの?

まっ、それでも費用対効果じゅうぶんにつき、

許す、赦す、J.C.はゆるす。

 

「MEIJIDO」

 東京都北区王子1-14-8

 03-3919-1917

 

「駅弁屋 匠」

 東京都台東区上野7-1-1上野駅ecute内

 03-5826-5629