2021年5月28日金曜日

第2664話 戸越銀座の裏路地で

まず初めに前話のラストの解説を―。

水戸市のK村サン、倉敷市のN島サンから

サンドの富澤たけしじゃないが

「ちょっと何言ってるか分からない」というお便り。

 

谷崎潤一郎の小説に「卍」があって映画化もされ、

若尾文子と岸田今日子のレズシーンは

東京五輪当時の世間に衝撃を与えたんですヨ。

一方、卍固めはプロレスラー、アントニオ猪木の十八番。

アントニオスペシャルの異名をとった固め技であります。

お判りいただけましたネ。

 

理髪日のこの日は都営地下鉄浅草線・戸越駅下車。

その前に戸越銀座のどこかで昼めしの予定だ。

大阪の天神橋に次ぐ、国内第二位の長さを誇る商店街は

関東大震災で傷んだ銀座の道路をアスファルト化するため、

がれき同然の煉瓦を買い取って敷き詰めた。

 

全国に先駆けてナントカ銀座の嚆矢となった所以だが

煉瓦のリサイクルがなければ、

“銀座”を名乗ることはなかったわけで

あとに続く数多のナントカ銀座なる名称も生まれなかった。

歴史の弾み、時のいたずらってのは感慨深いものがある。

 

戸越銀座を隅から隅まで探索しつくし、

白羽の矢を立てたのはミートソース専門店「スペランツァ」。

店名はイタリア語で希望を意味する。

東急池上線・戸越銀座駅上りホームの真裏にあった。

 

人気(ひとけ)のない狭い路地は何処かへの近道なのか

ポツリポツリと歩行者を引き寄せる。

つられてついていくと理髪店、焼き鳥屋など数軒が並び、

うち1軒が「スペランツァ」だった。

 

スペランツァ特製  鶏肉とフレッシュトマト  魚介

豚肩粗挽き肉の白ワイン  仔羊とレンズ豆  極み牛スネ肉

 

6種のミートソースの価格帯は790~1200円。

当然、タイトルロールにする。

生麺のフェットゥチーネと

乾麺のスパゲッティのチョイスは生麺を―。

 

ツナ缶とコーン入りの小サラダはサニーレタスと水菜。

なぜか醤油ベースのドレッシングがかかっている。

パルミジャーノのほか、コンディメント(薬味)は

唐辛子・トマト・バジル・にんにく、ひまわり油、

エクストラバージン・食塩が原料。

 

添えられたバゲットの小片にはオリーブオイルがしみていた。

うん、いいんじゃないかな。

後半はコンディメントで味変を試み、美味しく完食した。

 

中原街道を横断し、パルム商店街を突っ切って武蔵小山。

花のない、かむろ坂の桜並木を下りて不動前。

サロンに隣接するスーパーでいつものロング缶を調達。

そいつでノドを歓ばせながら髪を理してもらいましたとサ。

 

「エスペランツァ」

 東京都品川区平塚2-16-13

 03-3783-6757