2022年11月9日水曜日

第3142話 ガード下の北海道 (その2)

御徒町のガード下にて北海の幸を楽しむ、
やさしいオジさんが二人。
平和でおだやかで極上の時間が流れてゆく。

酒を飲めない人はつくづく不幸よのぉ。
同情するが本人たちは
ちっともそんなこと思っちゃいないから
余計なお世話もいいとこだ。

追加のつまみは牡丹海老の醤油漬け。
J.C.にはすこぶる付きで旨いが
殻をむくのがわずらわしいやら
指がベトベトするわで、N田は心なしかご機嫌斜め。
面倒くさい甲殻類にはまず手を出さないんだとー。

続いてこちらが活北寄貝バター焼き。
あちらは彩美牛・もち豚・ふらのポークの焼肉盛合わせ。
北寄は生もいいけど、軽く火を通すと旨味が凝縮する。
相棒は北の大地の牛・豚に機嫌を直している。

再び飲みもののチェンジ。
N田はおつかれさんサワーというヤツをー。
妙ちきりんなものは敬遠するJ.C.はレモンサワー。
「んん? オロナミンCだな、これはー」
「そんなの店が出すかい?」
お運びの娘さんに質すと、クエン酸割りだった。

話題が浅草に飛んだ。
悪名高きホッピーロードでボラれてきたと言う。
そうだヨ、あすこはヒドいところだヨ。
大したモン出さぬくせに値段だけは観光地価格だから
地元の人間は寄り付かない。
優良店は数えるほどで劣悪店のオンパレード。
君子危うきに近寄らずでいくのが賢いのだ。

その点、アメ横はいいよネ。
ザックリ言ってホッピーロードの半額で済む。
15年ほど前までは二日に一度出向いた浅草。
それほど愛した街なのに近年は様変わり。
飲みたい店がほとんどなくなった。

かんのん通りの「志ぶや」は大好きなれど、
唯一、ビールの銘柄が合わない。
ビール中心の”飲生活”を送る身にこれは致命傷。
だんだんと足が遠のきつつある。

何よりもすし屋通り「三岩」の閉業が痛恨。
〆にしん・まぐろぬた・穴子天ぷら。
失ったものの大きさを痛感している。
よって最近の浅草は
「神谷バー」オンリーの片肺飛行。
俺の浅草は何処へ消えた?

相棒と師走の忘年飲みを約し、
JR御徒町の改札で別れた。
本日もいい酒でありました。

「北海道マルハ酒場 御徒町二号店」
 東京都台東区上野5-20-3
 050-5596-7448