2022年11月23日水曜日

第3152話 カラスが止まったプラタナス

日暮里駅直下のSoftbankで用事を済ませた。
さて、何処で飲もうかの?
目の前のバスターミナルからは
亀戸行きと錦糸町行きが出ている。
どっちでもいいや、先に来たほうに乗ろう。

錦糸町が先だった。
いずれにしろ「亀戸餃子」のつもり。
亀戸なら本店、錦糸町なら支店だ。
終点に着いたとき、
毎度のことだが気が変わっていた。

東京楽天地に角打ちがあったハズ。
飲食店の案内板に見とめたのは
はるか昔、何度か利用した、
「信州そば処 そじ坊」だ。
当時は線路の反対側にあったが移転したらしい。

懐かしさも手伝って角打ちからチェンジ。
空腹感薄く、そばを食べる気になれない。
お誂え向きなのは、ほろ酔いセット。
飲みもの1杯につまみが2品付いて千円+税。
ドライ生中にわさび茎漬け&板わさをチョイスする。

お運びの娘さんに
「おそばに今も小さい生わさびが付くの?」
「ハイ、でも有料になってしまって150円です」
「いいとも1本付けてー」

昔はずいぶん感心したものだ。
町場のそば屋と変わらぬ価格に生わさびだもの。
しかもすり残したときに
持ち帰り用のビニール袋までくれた。

わさび茎漬けが相当辛い、ツンツン。
板わさのニセわさびは打っちゃっといて
おろし金ですりすり、偽物と本物の差は雲泥だ。
小田原のかまぼこは上物だった。

ドライの中瓶を追加して
窓の外をぼんやり眺めていた。
京葉道路の街路樹はプラタナス。
その向こうに
北海道居酒屋のバカデカい看板が見える。

何処かヨソに移動しようか?
それともこの街でもう1軒か?
思案しているとプラタナスの梢に
一羽のカラスが止まったヨ。

ここでハタと思い出す。
行きつけのバーでカラスの群れに
一羽の鶴が舞い降りたあの夕べ。
せっかく錦糸町に来たんだから
あすこで軽く飲んでいこう。

これは作り話じゃありません。
ホントにカラスが止まったんです。
♪ カ~ラ~ス、なぜ止まる? ♪
カラスの勝手でしょ、ってか。

「信州そば処 錦糸町店」
 東京都墨田区江東橋4-27-14
 03-3634-6041