2023年6月19日月曜日

第3299話 鶴と初デート (その1)

読者は覚えておらりょうか?
あれは去年の11月。
錦糸町の行きつけ、
vivo daily stand」の止まり木に
舞い降りた一羽の白鶴をー。

それからしばらく、再び錦糸町でバッタリ。
以来、何度か喫茶店でビールを飲む仲にー。
母上の介護のため、
なかなか家を空けられない彼女。
いつも2時間ほど談笑するばかりだった。

それが此度ランチの機会に恵まれた。 
鶴と初デートである。
「銀座辺りでいかが?」ー気遣ってこう向けると
「新宿がいいわ」 ー意想外の応えが返って来た。
「エッ、新宿?」  

銀座と新宿、女性に選択を委ねたら
十中八九、いや十人が十人銀座であろう。
珍しいな、鶴は天然記念物だったのか?
いずれにせよ、彼女は慶応ではなく、
早稲田派だったのだ。

いいでしょう、いいでしょう、
お供いたしましょう。
いつものジャーマン・パブってワケにもいかんし、
それなりの店を択ばにゃならん。

「中村屋でどうだろう?」
「けっこうネ」  
お眼鏡にかなった様子だ。
地下2階のレストラン「manna」に
予約の電話を入れたら予約不可。
それほどお待たせしないとのことで現地集合。

「中村屋」は十数年ぶりである。
改装後はは初めてである。
新宿通りから地下に降りると
店頭に順番を待つ、
客用の椅子がホールの四辺にずら~り。
並んでいるのは6名ほど。
先着していた彼女の隣りに腰をすべらせた。

電話の応対通りに
10分と待たずにご案内。
さすがに「新宿中村屋」、客あしらいが丁寧だ。
二人掛けに通されてドライのグラスを合わせていたら
四人掛けが空いて、そちらに移動を促された。

メニューは実に多彩。
カレーを中心とした洋食が主体ながら
中華モノも豊富に揃う。
「これはジックリ慎重に択ばないとネ」
「私もう決めちゃった」
「ハァ!?」

=つづく=