2024年3月5日火曜日

第3485話 練馬区に たった一つの 宿場町

東武東上線に東武練馬なる駅あり。
駅舎は辛うじて板橋区に収まっているものの、
南口に出ると、そこは練馬区・北町。
かつては下練馬宿、練馬区唯一の宿場があった。

練馬区には区役所所在地の練馬があるが
東武練馬からはずいぶん離れており、
何でまたこんな駅名を付けたのか
ちと理解に苦しむ。

それはそれとして南口の旧川越街道に出た。
創業45周年の町中華「たけいし」へ。
初老のご夫婦だけの営みである。
目を惹いたのは台湾酢豚(600円)。
全体的に値付けは安めだが
酢豚でこの値段はないだろう。
回鍋肉なんかは800円だからネ。

たぶん小皿なんだろうな。
渡りに舟とばかりお願い。
ドライの中瓶をトクトクやりつつ待つ
調った皿には豚ブツ10個、あとは刻みねぎ。
けっこうなボリュームだった。

店主が「けっこう辛いですヨ」と
言うだけあって唐辛子粉がどっさり。
タレではなくヒタヒタのつゆ仕立てだ。
全体として甘辛酸っぱく、けして悪くない。
とんかつ1人前ほどの量を平らげた。

麺半分でお願いしたラーメンは
中太ちぢれ麺に色の濃いスープ。
具材は厚く大きいバラチャーシュー1枚、
メンマ、もやし、小さな海苔。
大森や渋谷の「喜楽」のソレによく似ており、
揚げ玉ねぎが浮いてりゃ、まさしくである。

この宿場にもう1軒、狙いを定めた店あり。
昭和レトロ喫茶の「ボタン」だ。
入口ではステンドグラスのお出迎え。
ジャズの流れる店内には
お定まりのようにシャンデリアがぶら下がる。
上野の「王城」や「古城」を
コンパクトにしたような感じだ。

レトロ感に触発されて
懐かしのジンフィズをお願いしてみた。
レモン・スライスとマラスキーノ・チェリーを
浮かべたフィズはかなりジンが薄い。
柿の種付きである。

ビールが800円なのにジンフィズは550円
ウーロンハイもレモンサワーも
ハイボールまでも、みな550円。
町場の喫茶店には珍しく、
8時から24時までの営業だ。

大名行列とは無縁の下練馬宿に
旅籠はほとんどなかったらしい。
旧川越街道の北一商店街を
上板橋へと歩いてゆきました。

「たけいし」
 東京都練馬区北町2-36-3
 03-3937-0144

「ボタン」
 東京都練馬区北町2-39-2
 03-3934-2225