2024年3月11日月曜日

第8489話 穴天 ねぎま カンパチ煮

この日は東急東横線を都立大学で降りた。
隣りの学芸大学もそうだが
大学自体はとっくの昔に郊外へ移転しており、
駅名だけにその名をとどめている。
西武新宿線の都立家政も同じケースだ。

駅前の日本そば屋「大菊総本店」は20年ぶり。
会社の同僚の細君が急逝され、
告別式の帰りに立ち寄って以来である。
あのときは次々と喪服姿の列席者が現れ、
店員たちが唖然としていたのを覚えている。

二人掛けのテーブルが学校スタイルで並ぶ。
こんな感じだったかなァ?
様子に見覚えはまったくない。
赤星の大瓶と穴子の天ぷらを通した。

穴子丸一尾に茄子としし唐が添えられる。
カリカリのコロモがとても好い揚げ上がり。
天つゆの塩梅もよろしい。
穴子は店によってかなり高価だが
当店は770円と破格、フトコロにやさしい。

焼き鳥を追加した。
タレをくぐらせたねぎま仕立てが2本。
七色を振ってパクリ。
うん、もも肉がプリッと柔らかい。

日本酒がほしくなり、品書きをチェック。
おっと、金婚正宗じゃござんせんかー。
これはめったに飲めないゾ。

志村けんの地元、東村山の豊島屋酒造は
金婚正宗のほかにも
ひな祭りの白酒でとみに名を馳せている。
江戸時代から世に広まった白酒の元祖を
自ら名乗ってはばからない。
金婚の1合瓶を熱めにつけてもらい、
その辛口を存分に楽しんだ。
お勘定は2210円也。

遠方に出掛けると
2軒目は都心に戻りたくなる。
ふと思いついて4日前に行ったばかりの
交通会館地下「徳田酒店」へ。
土曜日とあってみんな飲んでいる。
なぜか若い女性のペアが目立つ。

ドライの大瓶に本日のおばんざいから
カンパチ煮付けをお願い。
馬刺しを通すと、これは売切れ。

ヤケに立て込んで両サイドがキッツキツ。
何だか落ち着かない。
当店は平日の昼下がりに来るのが一番だ。
そそくさと立ち上がり、会計すると
千円札1枚に百円玉1個のオツリがきました。

「大菊 総本店」
 東京都目黒区平町1-25-20
 03-3718-9111

「徳田酒店」
 東京都千代田区有楽町2-10-1
 東京交通会館 B1
 090-3483-6999