2024年6月6日木曜日

第3552話 初めてのお子様ランチ

生まれてこのかた、
お子様ランチというモノを
口にしたことが一度もない。
王子の頭上の飛鳥山、
行きつけの「豫園飯店」で
いつものようにビールを飲みながら
海老春巻をポリポリやっていた。

この日はずいぶん立て混んでおり、
話し相手の蘭チャンが
忙しそうにしているので手持無沙汰。
分厚い菜譜をパラパラやっていた。
ん? おこさまランチ(780円)が
あるじゃないの。

不図、ひらめいた。
此処であったが100年目、
食ってやろうじゃないの。
客が退けて席に来た彼女に
おそるおそるお伺いを立てると、
「なんでまたお子様ランチ?
 ホントに食べるの?」
「うん、食べる」
「物好きだわねェ」

気ごころが知れた店でないと、
こうはいかない。
しかもスタッフに仲良しがいないと、
こうもいかない。

2本目の中瓶を自分で冷蔵庫から取り出し、
自分で栓を抜いてトクトクトク。
ほどなくやって来ました、到着しました。
新幹線みたいな器に乗ってー。
「3番線、おあとに願いま~す!」ーてな感じ。

おっと、よくよく見たら新幹線じゃないヨ。
飛行機だヨ。
機体のあちこちにJALのロゴもバッチリ。
だけどずいぶん太ってるなァ。
ジャンボ機よりもデブだ。

内容は、乾焼蝦仁(エビチリ)3尾、
鳥唐揚げ2個、半炒飯(叉焼・玉子・ねぎ)、
オレンジ1/6カットと来たもんだ。
おもちゃの類いは付いていない。

エビをパクリ。
おや、けっこう辛いゾ、
子どもにダイジョブかァ?
唐揚げはフツーの旨さ。
炒飯は大人用と変わらずで
ケチャップやカレー粉なんぞ使っちゃいない。

「清湯があるとうれしいんだけどなァ」
「子どもはしょっぱいスープなんか
 飲まないのっ!」
「ハイ、判りました」
ギャフン、タハッ!

「豫園飯店」
 東京都北区滝野川2-7-15
 03-5394-9951