2024年6月27日木曜日

第3567話 「雷鳥」に翼を休めて (その1)

吉祥寺駅前から乗った成増町行きバスは
東京女子大→上石神井駅→富士街道→
石神井公園駅北口と走った。
時刻はまだ16時ちょい前である。

この町に来れば、必ず立ち寄る、
洋食・中華の「辰巳軒」に
ダメ元で行ってはみたが
やはり夜の営業は17時半から。
もう1軒、利用したことはないものの、
認知はしている日本そば屋に赴くと
こちらは17時のスタート。
たった30分の違いでもこの差は小さくない。

それでもそれまで1時間、どうにかしなきゃ。
石神井公園に向かった。
井の頭公園転じて石神井公園と来たもんだ。
石神井池では水鳥たちのお出迎え。
マガモ・オナガガモ・カワウ・カイツブリ。
生き物好きの気持ちを和ませてくれる。

17時近くになり、さっき降りた坂道を戻る。
すると竜鉄也のシブい歌声が聞こえてきた。

♪ 抱いたのぞみの はかなさを
  知るや谷間の 白百合よ
  泣いてまた呼ぶ 雷鳥
  声もかなしく 消えてゆく
  あゝ 奥飛騨に 雨がふる ♪
   (作詞:喜多條忠)

盲目の演歌歌手が作曲をも手掛けた、
「奥飛騨慕情」は1980年のリリース。
その3番である。

浪花の小姑のそしりを怖れず、
竜サンに登場願ったのにはワケがある。
日本そば屋の屋号が「雷鳥」なんですわ。
西荻から吉祥寺、そして石神井公園と飛び続け、
疲れた翼を「雷鳥」に休めることとなりました。

よくよく考えても
歌詞に雷鳥の登場する曲をほかに知らない。
雷鳥を名乗る店舗もほかに知らない。
間口の狭い階段を地下へ降りていった。

そば屋らしくないモダンな造作。
開店とほぼ同時の入店なのに先客が2組。
促されたカウンターに落ち着く。
ビールはサッポロ赤星の大瓶。

刺身二点盛りは金目鯛&しまあじ。
注文しかかって思いとどまる。
昼の〆鯖が脳裏をよぎって昼夜ともに
日本そば屋で生モノというのもなんだかァ。

魚の煮凝りが真鯛主体とのことで
そちらにしてみた。
このあと日本酒に移行するつもりだから
そのアテとしてもバッチリだ。

=つづく=