2024年6月19日水曜日

第3561話 気ままに京都 一人旅 (その8)

参道の勾配を稲荷大社へと上ってゆく。
途中「お食事処 稲福」の店先で脚が止まった。
ここには「祢ざめ家」がすでに取り扱いを
終了した雀焼きがあるじゃないかー。

あたりは修学旅行の中・高生でごった返してる。
日本全国津々浦々、およそ3万社に及ぶ、
稲荷神社の総本社がこの伏見稲荷大社だ。
1万本はあるといわれる千本鳥居を
くぐり始めてはみたけれど、参拝客の数に閉口。
ラグビーのスクラムほどではないにせよ、
完全なるモール状態。
根性ナシのJ.C.ははかなくリタイアを決め込む。

再びJR奈良線で京都駅。
駅に近い東寺の五重塔を拝みに往く。
すると東寺の手前に伏見稲荷の御旅所があった。
御旅所(おたびしょ)は神社の祭礼で
神輿が巡行の途中に休憩する場所のこと。
偶然とは言え、何となく因縁を感じた。

平安京唯一の遺構、
東寺の五重塔は京都のランドマーク。
修学旅行生の間では
京都タワーに押されがちだがネ。
御影堂(おえどう)には入らず、
弘法大師空海と心の交流はありませんでした。

続いてやはり駅チカの東本願寺へ。
浄土真宗大谷派の総本山に山号はなく、
真宗本廟が正式名称。
たびたび消失の憂き目を見ており、
現存の御影堂(ごえいどう)は
明治28年の完成ながら
その巨大さに度肝を抜かれる。
世界最大の木造建築に靴を脱いで上がった。

ホテルで小休止したものの、すぐに出発。
17時半には四条河原町に近い、
裏寺町の「たつみ」で飲み始めた。
ここはロの字カウンターの奥側に
立ち飲みスペースがあり、居心地が好い。
小物中心に多彩なつまみもうれしい。

ドライ大瓶に香住直送のかにみそをー。
東京の酒場のかにみそとはひと味違った。
黄桜の冷たいのに切り替え、奈良漬を所望。
さっきJR奈良線に乗ったのでつながった。
辛子が添えられ、ん?と思ったが意外に合う。
しかし、次の豚&玉ねぎの串かつで失敗。
パン粉がガシガシを通り越してゴリゴリ。
価格急騰中のキャベツはタップリだけどネ。

2日前にも訪れた近所の「京極スタンド」に移動。
一番搾りの中ジョッキを飲みつつ、
壁の品書きを見上げると、ふなのあらいがあった。
鮒は佃煮風の雀焼きを食べたことがあるだけ。
コイツは珍しい、行ったれ!

=つづく=

「たつみ」
 京都府京都市中京区裏寺町四条上ル中之町572
 075-256-4821