2024年6月14日金曜日

第3558話 気ままに京都 一人旅 (その5)

地下鉄烏丸線を鞍馬口で下車。
徒歩5分で御霊神社(上御霊社)に到着。
此処はかの応仁の乱の発祥地だ。
戦国時代の口火を切る応仁の乱は
御霊の森に陣を構えた畠山政長を
畠山義就が襲撃した御霊合戦が発端だった。

静かな境内を散策する間、誰にも会わない。
京都は伏見稲荷はじめ、
東本願寺や下鴨神社など参詣客でごった返す、
神社仏閣だらけだが、ここは静かなものだ。

臨済宗相国寺派の大本山、相国寺に移動。
さまざまな建物が林立して
どこが本堂なのか見当もつかない。
当寺には仏殿がないため、
仏殿を兼ねる法堂が本堂に当たるそうだ。

最盛時には京都の街のかなりの部分を
寺の所領としたが後年衰えを見せ、
殊に明治に入ってからの廃仏毀釈に
大打撃をこうむることとなった。

寺領の跡に建つ同志社大学、
隣りの同志社女子大学を横目に見つつ、
桝形出町商店街にやって来た。
前日の三条会商店街とは打って変わって
穏やかで平和な軒が連なる。
同じアーケードでずいぶん違うものだ。

感心したのは子育てに追われるツバメたち。
目当ての「満寿形屋」の隣りの「Meet Delica」。
肉の総菜屋はやってるのかやってないのか、
とにかくこの日はシャッターが降りており、
テントの中の巣に5羽の子ツバメが
黄色い口を開いていた。
可愛いねェ、好い商店街だねェ。

心和ませ、鯖寿司自慢の「満寿形屋」へ。
15分ほど並んでようやく入店。
看板に ”すし・めんるい” とある通り、
当店の名物は鯖寿司うどんセット(1100円)。
うどんをきつねにすると1300円。

名物をドライ中瓶とともにお願い。
「アテで~す!」
オバちゃんがサービスの突き出しをくれた。
おかかが掛かった焼き万願寺唐辛子と
珍しい鯖の真子の煮付けである。
鯖の子はかなりクセが強いが
ビールの合いの手に悪くなかった。

壁の短冊に水なすの漬物。
すかさず通すと、どんぶり鉢いっぱい。
パクパク食べる。

かけうどんには、きざみ青ねぎ・
とろろ昆布・ピンクの縁取りのかまぼこ。
柔いうどんが残念だけど、京都だからネ。
そのぶん穏やかな出汁に好感。

何と言っても主役は鯖寿司。
惜しげもなく使われた木ノ芽が
白板昆布の下に透けてシースルー。
これには敬服いたしやした。

=つづく=

「満寿形屋」
 京都府京都市上京区枡形通出町西入ル
 二神町179
 075-231-4209