2011年8月5日金曜日

第112話 スカッとさわやかレモン切り (その1)

6月の暑さから察するに
7・8月は大変なことになりそうな気配。
だが実際にフタを開けてみたら、何だよこれ?
暑いのが苦手な人はほくそ笑んでいようとも
夏オトコにはもの足りないのなんのって―。
夏ならもっと真面目に気合いを入れて夏らしくしろっ!
そう叫びたい今日この頃でありまする。

先週末は涼しい東京を離れ、
より涼しい軽井沢に”避暑”したが、まったく意味ナシ。
瞬間、晴れ間がのぞいても、ほぼずっと雨ときたもんだ。
でも、いいんだモンね、関係ないんだモンね、
滞在中は外出もせず、BBQ、将棋、花札に興ずるのみ。
メインとなる麻雀は面子が足りずに出来なかった。
おっと、4人で陣地を取り合うブロッキーといったかな?
そんなゲームも初めて覚えた。

東京に戻って数日後、カンカン照りの正午過ぎ。
夕方からは曇りのち雨の予報ながら
その時点ではわが世の”夏”を謳歌していた。
順調に所用を済ませたあと、
舎人ライナー・日暮里駅前で思案投げ首。
はて、どこで昼めしにしたらよかんべサ。
夜は雷門のイタリアンでガッツリ食う手筈、
さすれば、軽く麺類に逃げるのが得策だ。

すると、目前に忽然と現れた一軒のそば店。
あいや、そば屋にしてみれば
「オメエがウチの前に突然現れたんだろが!」―
てな思いにかられるわな。
判る、判る、その気持ち判ります。

屋号の「とお山」には記憶があった。
帰宅後調べてみたら
2003年4月に1度訪れており、何と8年ぶりになる。
光陰、矢の如し。
そのときはせいろ・田舎・桜切りの三色天もりをいただいた。
天ぷらは活〆穴子・さつま芋・青唐の内容で
三色天もりの値段は金1785円也。

桜切りを筆頭に、総じて評価は高いものがあった。
上品なつゆは甘みをほのかに含み上々。
ただし、粉わさびだけが残念至極。
有料でも構わないから生わさびを使ってほしい。
もっともそばにわさびは不可欠というわけではない。
鮨屋だったら致命傷だがね。

さて、「とお山」に記憶はあったが
移転したとみえ、微妙に場所が違っている。
界隈はすさまじい再開発で
面相のまったく異なる町に生まれ変わった。
それでも遠方にハジキ飛ばされたのでもなく、
近所で商売を続けられるのはご同慶の至りだ。

出くわしたとき、すでに入店を決めていたが
さらに背中を押してくれたのは1枚の貼り紙。
「すりおろしたレモンの皮を打ち込んだレモン切り」―
この仰せであった。
季節との折り合い、胃袋との調整、
どちらに転んでも非の打ち所ない昼めしとの遭遇。
フフッ、日頃の行いのいかに大切なことよのォ。

=つづく=