2011年8月15日月曜日

第118話 川魚に目を見張る (その2)

軽井沢のスーパーマーケット「TSURUYA」で
東京に持ち帰る食料品を買い込んでいる。
青果類を買ったついでに鮮魚・精肉コーナーに移り、
元気な川魚に心奪われたところだ。

鮎・岩魚・山女魚、いずれもキトキト。
長野の隣りの富山では
新鮮な魚介をかように表現する。
鮎の隣りに並んでいた虹鱒に目を見張った。
東京で目にするものとはモノが違う。
顔つき・体つき・色艶、そのすべてが違う。

川魚の仲間でも大味な虹鱒には
あまり美味しいサカナという思いがない。
英米ではレインボウ・トラウト、
フランスではトリュイト・アルクアンシエル、
ところ変われど名前は常に虹の鱒だが
立派な名前に味のほうが追いつけていない印象。

精肉売り場ではU.Sサーロインを買った。
久しぶりに脂肪の少ない米国牛が食べたくなったからだ。
懐かしさに追い討ちをかけられ、購入した次第。

昼食は2年前にもおジャマした富岡の富士屋。
富岡製糸場のすぐ近くにあり、
往時を偲ばせる店のたたずまいに惹かれ、
入店を決めた町の食堂だ。

前回はワンタンメン、今回はスープそばをいただく。
スープそばとは何ぞや? 一瞬疑問が湧くものの、
何のことはない他店のタンメンのこと。
あとはソース焼きそばを2人前頼み、7人でシェアした。

その後、製糸場前の旅館「信州屋」に立ち寄って
名物の絹シューマイ弁当を買うつもりが
弁当は予約制になっており、絹シューマイだけで我慢。

帰宅後すぐ虹鱒を取り出し、塩を振る前に写真を撮る。

信州・長和町で養殖された虹鱒

長和町は美ヶ原の西、霧が峰の北に位置して
湧き水が豊富なのであろう。
清く冷たい水がなければ川魚は育たない。

塩焼きはまことにけっこう。
山女魚にも近い食味には旨みの凝縮があった。
あらためて比べるため、近所のスーパーへ出向き、
虹鱒の姿を拝んできたがまったくの別物であった。

翌日は米国牛のサーロインを焼くと、
残念ながらこちらは肩透かし。
コク味に欠けてステーキを食べている実感がない。
ニンニクとバターの風味にすがるも効果はなかった。
ニューヨーク随一のステーキハウス、
「Peter Luger」と比べるつもりはないけれど、
あまりの落差にガッカリの巻である。
ブラックアンガス種のような高級牛は
あまり日本に入って来ないのかもしれない。

米国産サーロインと信州産虹鱒、
悲喜こもごもの軽井沢みやげ。
おっと、忘れるところだった。
絹シューマイの評価は両者の中間に位置している。

「TSURUYA 軽井沢店」 
 長野県軽井沢町長倉2707
 0267-46-1811

「富士屋」
 群馬県富岡市富岡1072
 0274-62-0752

「信州屋」
 群馬県富岡市富岡51
 0274-63-2000