2011年8月26日金曜日

第127話 喉が渇いちゃ 戦(いくさ)は出来ぬ (その2)

1970年代初めに何度か訪れた駿河台下の雀荘「竹馬」。
この春、40年ぶりに再訪したのをきっかけにまた通い始めた。
月に1度のペースで卓を囲むのだが
戦いの前に必ず軽く1杯引っ掛けてから戦場に赴く。
上野・神田・新橋のようなオヤジ街とは異なり、
この界隈での店の物色はなかなか難儀なものだ。

どこで飲んでいるかというと、コンスタントに使う手駒は2枚。
1枚目は印度&欧州カレーの「トプカ」である。
そばの有名店、「神田まつや」の並びにあり、
昼はカレー専門店ながら
夜はそば居酒屋ならぬ、カレー居酒屋に変身する。
酒を飲まずにカレーライスを食べに来る客も少なくない。

この店の使い勝手がとてもよく、
ビール・酎ハイ・ホッピー・日本酒と、品揃えも充実している。
ただし、生ビールは飲む気がしない。
小さめの中ジョッキは我慢できるけれど、
ジョッキそのものが腹立たしい。
何と、分厚い底のガラスの一部に琥珀色が施してありやがる。
要するにビールと同色にして客の目をごまかしているのだ。
此度、初めて気がついたが以前にこんなのあったかな?

とにかくこういうことをする店はイヤだがメーカーはもっとイヤ。
ジョッキはビールメーカーのロゴが入りサービス品だから
店よりもメーカーの罪が重い。
シェアが最下位だったサントリーに抜かれたからって
こんなマネはよくないヨ、サッポロさん。
即刻、無色透明のジョッキと交換すべし。
御社の旨い生ビールが泣きやすぜ。

したがって「トプカ」ではもっぱらサッポロ黒ラベルの中瓶。
さすがにビールだけというわけにもいかず、
合いの手にはまぐろの中落ちを頼むことたびたび。
本まぐろではなく、せいぜいバチだろうが
赤身・中とろ・カマとろの3点盛りで来ることが多い。
500円でオツリの来る値段につき、
量も控えめで”軽酌”にはもってこいだ。
生さわびと鮫皮のおろし板を持込みたいが
さすがに嫌味なので自重している。
ほかにはつまみ用カレールウがビールにピッタリだ。

もう1枚の駒は神保町交差点のすぐ近く、
ナポリタンで有名な喫茶店、
「さぼうる2」の向かいにある「中華食堂 一番館」。
安さがウリのチェーン店だ。
チェーン店ならいくらでもあるだろ、と言われても
牛丼の「吉野家」でビールだけってわけにはいくまい。

ここで飲むのもスーパードライのやはり中瓶。
生は第3のビール、クリアアサヒになるからだ。
中ジョッキと餃子のサービスセットは500円だが
それを無視して450円の中瓶と190円の餃子を注文する。
これだってずいぶん安いもの。

オマケに「一番館」のウエイトレスは
飲みものだけでもイヤな顔一つせず、いつもニコニコ。
町の中華屋にはいまだにつっけんどんな中国娘が多いなか、
娘と呼ぶには多少トウが立っているものの、
愛想のよいおネエさんはありがたい。
決戦前の晩酌でイヤな思いをすると、
肝心の勝敗に悪影響を及ぼしますからネ。

「トプカ」
 東京都千代田区神田須田町1-11
 03ー3255ー0707

「中華食堂 一番館 神保町店」
 東京都千代田区神田神保町1-9
 03-3296-1855