2011年8月22日月曜日

第123話 麦が葡萄を駆逐する

この夏に飲んでる酒はほとんどビール。
冷酒や焼酎のロックを飲んだ夜は数えるほどで
ホッピーや酎ハイはもっと少ないハズ。
ワインもたしなんでいるが、例年に比べれば激減だろう。

若い頃はかなりのビール好きだった。
金融界に足を踏み入れた30代からは
客との接待ディナーが急増して
ずっとビールで通すわけにはいかなくなった。
それからの四半世紀は週に2晩ほどしか
自由な晩めしは食えなかったような気がする。

つい先日、ニューヨーク時代の旧友と16年ぶりに再会した。
当時、ソイツとはどんなところに出没したのか
検証のため、1995年の食日記を引っ張り出し、
ついでにその夏、何を飲み食いしていたのか調べてみた。

今日は8月22日。
16年前のその夜から3晩のディナーシーンを詳らかにする。
退屈でしょうが、しばしおつき合いくだされ。

’95.8.22 Tue
 @「すし清」
 スーパードライ小瓶1.5本
 高天(諏訪産)冷や2杯
 たらば蟹、煮はまぐり、焼き椎茸、
 鯵&鰯のつみれのしそ巻き、まぐろつけ焼き
 にぎり・・平目・真鯛・青柳・小肌・牡丹海老・うずら玉子

うずらの玉子って何だ?
理解に苦しむが生の玉子の軍艦でも食ったのだろうか?

’95.8.23 Wed
 @「Caffe Bondi」
 モレッティ小瓶1.5本
 Duca Enrico(シチリア産) ’87年1/2本
 鰯煮込みのペルチアテーリ(穴開きロングパスタ)トマトソース
 鰯素焼きのブカティーニ(上記のパスタと同じ)ハーブソース
 エスカルゴのトマト煮
 サラセン帝国風ズッパ・ディ・ペッシェ(魚介類の煮込み)
 うさぎの煮込み・いんげん&じゃが芋添え
 仔牛のインヴォルティーニ(薄切り肉の詰め物巻き)
 木苺のパンナコッタ
 モスカート(イタリア産デザートワイン)1杯
友人と3人でシェアしながらわいわいがやがや。

’95.8.24 Thu
 @「Il Toscanaccio」
 モレッティ小瓶1本
 Chianti Crasicco Viticcio ’90 1/4本
 Brunello Di Montalcino Piave Gaja ’88 1/4本
 前菜盛合わせ
 フィレンツェ風骨付き仔牛の網焼き
 モスカート1杯

今となってはその名前の消えた某都市銀行の接待だった。
 
ざっとまあ、こんな感じでビールはほどほど。
自分で言うのもなんだが、実にスマートな飲み方である。
ただし、3晩とも二次会があり、
ラウンジやクラブでヘネシーVSOPの水割りを数杯飲んでいる。

何のことはない、接待から解放されて
自分の好きなものを自腹で飲むようになっただけのハナシ。
まっ、大麦由来のビールが
葡萄由来のワインやブランデーを駆逐しつつあるわけだ。
ただし、ホステスの侍るテーブルで
ブランデーはタイヘン貴重な役割を担うこととなる。
押しなべて彼女たちはウイスキーよりブランデーがお好き。
五月蝿い黒服にいろいろ指図されはしても
ブランデーのあるテーブルにはついつい長居しがちになる。
これは銀座のクラブとて大同小異。
ホステスさんの滞留時間は
その夜の接待の成否に重要な鍵を握っているのです。