2011年8月24日水曜日

第125話 アベックアイスと氷すい

甘党に限らずとも
暑い日にはアイスクリームが食べたくなるが
ものすごく暑くなると不思議にあんまりほしくなくなる。
そこまでいくとアイスキャンデーの世界に入るのだそうだ。

カランカランと鐘を鳴らして売りに来るアイスキャンデー屋は
近頃めったに見掛けなくなった。
昨年だったか葛飾・柴又の江戸川の川原で、
先週はまた不忍池のほとりでそれぞれ出会ったが
いったいどんなオジさんがあの商売をしているのだろう。
祭りの屋台なんかを取り仕切るテキ屋がらみだろうか。
大正時代に日本へ入ってきたアイスキャンデーは
1905年、サンフランシスコの少年が偶然に発明したそうだ。

コンビニやスーパーで売っている、いわゆるアイスバーでは
真夏の太陽の下でしゃぶる、あの醍醐味は味わえない。
キャンデーなきあと、夏の氷果はいの一番にかき氷。
読者にはこっそりお教えしますが
東京の三大かき氷は以下の通りでござる。

 ①「初音茶屋」・・・浅草
 ②「にんきや」・・・浅草橋
 ③「ひみつ堂」・・・谷中

氷いちごや氷あずきが幅を利かせるかき氷に
氷すいというのがあるのをご存知だろうか?
正しくは氷水と書くが
これだと”こおりみず”と読まれてしまう。
赤や緑のいわゆる着色料を使用していない、
無色透明のガムシロップを仕込んだもので
氷砂糖水(さとうすい)を略して氷すいとした。

甘いものは好まず、デザートをほとんど取らないくせに
ときどき赴く甘味処が大正元年創業、根津の「芋甚」。

これが「芋甚」の氷すい(370円)

無色だからシロップを掛け忘れたかに見える。
これが意外とイケて昭和30年代には通が好むかき氷だった。
あるいは子どもにゃ判らぬ、大人の味のかき氷とか・・・。

「芋甚」の一番人気は店頭売りのアイス最中。
ヴァニラとあずきの2種類あって、あずきの人気が高いが
ヴァニラのほうを気に入っている。
脂肪分少な目の昔ながらのアイスクリン。
みんなが貧しかったあの頃のアイスクリームが好きだ。

近所に来ると、必ず1個110円のコイツを買い求め、
昭和の匂い立ち込める町を歩きながら舐めるのである。
だからこそ美味しさが倍増し、銀座だととてもこうはいかない。

店内ではヴァニラとあずきが仲良くワンスコップずつの
アベックアイス(260円)がいただける。

アイスクリーム専用スプーンで

イートインしてもたったの260円。
セレブな女性にゃ
フォションやハーゲンダッツがお似合いだけれど、
オジさんにはこっちのほうがずっとよいわいな。

「芋甚」
 東京都文京区根津2-30-4
 03-3821-5530