2014年4月30日水曜日

第827話 "食べ”の駱駝に行きました (その4)

夕焼けだんだんの上がり口に位置する、
「ザクロ」に集結した面々が乾杯を終えたところ。
男はあぐらをかき、女性は膝を崩して料理を待つ。

そう、そう、目当ての料理でありました。
読者はもうお判りですネ。
だって、サブタイトルにちゃんと書いてありますもん。
食味はともかくもハナシの種に
一度は食べておいて損はないラクダ肉である。

初めに供されたのはスパイシーな香りを放つ具のないスープだ。
カレー風味といえないこともない。
これは可もなく不可もなく―。

お次は人参と大根を煮付けた1皿。
そしてパセリをこんもり盛ったポテトサラダだ。
どちらもあまりパッとしない。
っていうかァ、食材にコストを掛けてないんだよネ、この店は!

ペルシャ(イラン)に行ったことはないが
トルコならほぼ全土を周遊している。
もっとも30年前、1984年の夏だけど、トルコの食事は悪くなかった。
イスタンブールの大衆食堂はじゅうぶんに満足のいくものだった。
この点、「ザクロ」は明らかに負けている。

とにかくトルコという国は野菜類が豊富で
仲のよくない隣国のギリシャにも輸出しているくらいだ。
イスタンブールでは
チョバン・サラット(羊飼いのサラダ)が気に入りだった。
夕方になると、いつもこれで生ビールを2~3杯飲んだ。
サラダの値段は忘れてしまったが
ビールは日本円に換算してちょうど100円。
キリがいいからこの値段は忘れようがない。

100円ビールのサイズは日本の中ジョッキよりやや小さめ。
といっても昨今の東京の居酒屋チェーンは
安さを強調するあまりにずいぶんと小ぶりだったり、
上げ底だったりのジョッキを使用しているから、
むしろイスタンブールのビア・グラスのほうがたくさん入っていたりして。

「ザクロ」で食べた料理の紹介をなおも進めよう。
続いての皿はチキンハートの煮込み、いわゆる鳥ハツである。
残念ながら東京の焼き鳥屋の水準には遠く及ばない。
アヒルのキーマなる料理もやって来た。
何もアヒルの挽き肉を使わんでもなァ。
当然のことながらインドのキーマカレーほどにスパイスが香るわけではない。

ここまでで、コイツは旨い!
そう思うディッシュはただの一皿も出てこなかった。
何だかなァ・・・つぶやきというか、ボヤきというか、
座の会話がため息混じりになってきたヨ。

=つづく=