2015年2月3日火曜日

第1026話 ハタ坊に脱帽 (その1)

すでに当ブログで紹介したつもりなのに
すっかり載せ忘れていた店舗は過去においてけして少なくない。
JR駒込駅にほど近い中国料理店、「炒め処 寅蔵」もそんな1軒だ。

2週間ほど前に久かたぶりで再訪し、
以前はどんなふうに取り上げたのかなと思い、
アーティクルを探してみてもトンと見つからない。
大好きな店なのに、ついウッカリしていたのだ。

2年前にオジャマしたときは真鯛の清蒸を心ゆくまで味わった。
当店得意の一皿は広東料理の華ともいえる鮮魚の清蒸。
このときいただいた真鯛の雄姿を撮した写真がないのに
なぜか食べあとの残骸は撮ってあった。
どうです? この食べっぷり  
骨まで愛して愛してしゃぶっちゃったのヨ。
食われた真鯛クンもあきれはてて口あんぐりの巻であるぞヨ。

新鮮な白身魚を必要不可欠とする清蒸に
もっともふさわしいサカナは実は真鯛ではなくハタである。
九州地方ではアラ、紀伊半島ではクエと呼ばれる。

目を海外に転ずると、
香港では広東語で石斑魚(セッパンユウ)、
英米なら英語でGrouper(グルーパー)となる。

今回は数日前に予約を入れた。
その際、二人で食べるにふさわしいサイズのハタを
用意してくれるよう、お願いしてある。
シェフ自ら魚河岸に出向いて仕入れてくれるハズだ。

はたして当夜訪れると、
「長崎産の黄ハタをご用意できました」―
マダムのひとことにわれわれニッコリである。
ハタならば、真ハタ・黄ハタ・赤ハタ・キジハタ・アズキハタ・ネズミハタ、
どんなハタでもアクセプタブルでござんす。
みんながみんな美味でありやすからネ。

今宵の相方は40年来のつき合いになるT原サン。
このところ会う機会に恵まれて
月に一度は酒席をともにし、旧交を温めている。
ウラオモテのない性格の持ち主と酌み交わす酒は
素直に心に染み入り、シアワセな夜を招いてくれる。
愚痴や未練ならいざしらず、酒を飲みながら
陰口、告げ口の類いは金輪際聞きたくない。

T原さんとは香港・九竜半島の「福臨門本店」で会食したことがあった。
あれは確か1983年の秋で、鳩を食べた記憶があるが
石斑魚はどうだったかなァ・・・う~む、思い出せない。
あれから三十有余年、こりゃしっかたなかんべサ。

=つづく=