2015年2月19日木曜日

第1038話 食堂で飲むのが好き (その4)

お婆ちゃんの原宿、巣鴨はとげぬき地蔵通りの「ときわ食堂」。
昨年末の一夜、冷やしトマトをつまみに
2本目のビールをゆるゆると飲んでいる。

「シアワセだなァ、
 ボクはビールを飲んでいるときが一番シアワセなんだ。
 ボクは死ぬまでビールを放さないゾ、いいだろう?」

加山雄三よろしく、右手人差し指で鼻の脇をこすった。
こすりながらも品書きをじっくりと吟味する。
ちょいとばかり気になったのは
林SPFロースカツ皿(700円)とキングサーモン照り焼(670円)だ。
それに本日の煮物というのがあり、里芋・茄子・生揚げが各260円。
少しづつの盛合わせが370円と、目ざとい客はこちらを頼む。

ミニのメニューに、まぐろ刺身(350円)と白身刺身(400円)があった。
まぐろは判るが、白身は内容をチェックせねばならない。
お運びのオネエさんに訊ねると彼女、即答できずに厨房へ疾った。
戻り来て曰く、飛魚刺しかアジのたたきだと―。

オイ、オイ、そりゃ、どちらも白身じゃなくて青背というんだヨ。
まったくイヤになっちまうな。
こちらは真鯛か平目を想定していたからガックシだ。
結局、あじフライを1尾お願いした。
これがなんと160円だから、デパ地下の惣菜屋より安い。
しかもなかなかの揚げ上がりである。

隣りの客が定食セットを注文した。
品書きをチェックすると、ごはん・味噌汁・新香のトリオが270円とある。
米は秋田のひとめぼれで、お替わりの1杯は無料。
こいつは破格の安さじゃなかろうか。

当夜は大瓶を2本飲んだから、とても飯までゆき着かない。
食堂では飯を食うより、酒を飲むことのほうが多いけれど、
セットの気前よさに敬意を表し、年明け早々出向いた。

1尾からOKのあじフライに加え、
1個からOKのかきフライを一皿盛りにしてもらい、
くだんの定食セットとともにいただく。
あじ(160円)&かき(200円)のフライ

3点セットはおざなり感まったくなく文句のつけようがない。
ビールを1本にとどめ、芋焼酎のロックも1杯だけにしての夕膳。
定食セットに岩のりをプラス
つやつやの白飯に熱々のわかめ味噌汁、
きゅうり&大根のぬか漬けと白菜は塩漬けである。
これじゃ、昼夜を問わない満員御礼も”当たり前田のクラッカー”だわ。

=おしまい=

「巣鴨 ときわ食堂」
 東京都豊島区巣鴨3-14-20
 03-3917-7617