2015年2月16日月曜日

第1035話 食堂で飲むのが好き (その1)

 ♪ 好き好き好き 霧の都東京
   好き好き好き うるむネオンの街
   いつもいつでも 君と僕と二人
   とても素敵 おしゃれ横丁の飾窓(ウインドウ)
   パリーごのみのファッション
   好き好き好き 僕はあなたが好き ♪
         (作詞:佐伯孝夫)

フランク永井の低音さえ渡る、
「好き好き好き」が東京の街に流れたのは1960年。
今、小学校三年生だった55年前を振り返ると、
安保とローマ五輪が思い出される。
父親と二人きり、銀座と浅草に一日遊んだのもこの年、
陽光うららかな春の日曜日だった。

フランクが好きな霧の都東京・・・。
J.C.は都東京の大衆食堂で飲むのが好き。
もちろん大衆酒場もいいが俗にいう居酒屋はそれほどでもない。
これがチェーン居酒屋となったらご免こうむりたい。
大衆酒場は単身客主体でグループ客が少ないが
居酒屋にはけっこう多いし、チェーンとなれば団体の天下だ。

なぜ、食堂で飲むのが好きかというと、空間と空気が好もしいから。
酒場ではみんながみんな飲んでるけれど、
食堂なら晩めしと晩酌が適度に混じり合っている。
そこがミソ。

どんな呑み助でも隣りで静かに食事中の客には多少の神経を使う。
それが勤め帰りのうら若きOLだったりなんかしたら尚更だろう。
OLのほうも晩酌組の存在を覚悟のうえでの来店だから
余計なちょっかいさえ出されなけりゃ、
酔客にもそれなりの許容度を持っている。

ほろ酔いとシラフの暗黙の了解が穏やかな空気を育み、
居心地のよさを醸してくれる。
よって、すべての客が酒を酌み交わす居酒屋より、
大衆食堂で飲む酒のほうが格段に美味く感じるのだ。

当ブログにたびたび登場する”ときわ食堂グループ”をはじめ、
数を減らしたといえども都東京には数多くの大衆食堂が現存している。
そうだ! 気に入りの食堂を列挙してみよう。
キリがないから店名に”食堂”の2文字を名乗る店だけにする。
50軒近くある”ときわグループ”も除外しておこう。
順位は付けない。
順位など付けたくないのだ。

そりゃ、加賀まりこの丸い瞳にでも懇願されれば
ランク付けしないこともないが今回はやめておく。
アイウエオ順も地域別もなく、思いついたままに並べてみた。

椎橋食堂(足立市場内)  柏屋食堂(東向島)
北一食堂(北品川)  ふじや食堂(麻布十番)
民生食堂 天平(高円寺)  入谷食堂(入谷)
たけの食堂(築地場外)  月よし食堂(勝どき)
ゑびす屋食堂(立石)  やまと食堂(上中里)
ゆたか食堂(巣鴨)  はやふね食堂(森下)
千通食堂(巣鴨新田)  幸楽食堂(平和島)
ほかり食堂(石神井公園)  三忠食堂(十条)
三晴食堂(高円寺)  せきざわ食堂(東長崎)

いや、ずいぶんあるもんだなァ。

=つづく=