2015年2月5日木曜日

第1028話 ハタ坊に脱帽 (その3)

旧知の仲のT原サンとともに「寅蔵」のカウンター席。
こちらは冷たいビールで、モーマンタイ(ノープロブレム)だが
身体が冷えてしまった相方は早くも紹興酒の上燗だ。

マダムがおサカナの調理を始めてよろしいでしょうか?
と、お伺いを立ててきたのでゴー・アヘッドのサインを送る。
何せ、清蒸は時間が掛かるからネ。

そのあいだのつまみに腐乳をお願いした。
1ピースにつき100円なので2ピース注文する。
四角四面のサイコロ状  
ところが、これがヤケにしょっぱい。
ここで物忘れ症候群のJ.C.、
以前に犯した同じ失敗を遅ればせながら思い出す。
その節も持て余したんだよネ、コイツを―。

とにかく1粒を二人でシェアし、
無キズのもう1粒は料理を趣味とする相方が持ち帰りに及ぶ。
腐乳に見た目も原材料もそっくりな沖縄の豆腐よう。
食味においてはまろやかな沖縄に軍配を挙げたい。

しからば軽いつまみをもう一種。
ここでT原氏が選んだのは
ピーナッツときゅうりのニンニク和えものときたもんだ。
妙な選択だぞなもしと思いきや、
ピーナッツやアーモンドなどナッツ類が大好物なんだと―。

ふ~ん、世の中にはピーナッツ好きっているんだなァ。
そんなもんなんだねェ。
いえ、ベツにバカにしてるんじゃありません。
と言いながら、ハタと気づいて思わず膝ポン。
かく言う自分もピーナッツ好きだった。
ただし、こちらはピーナッツ・ファン。
そう、南京豆ではなく、日本歌謡史における最高のデュオ、
ザ・ピーナッツの大ファンでありました。

急に彼女たちのハーモニーを聴きたくなって席を立ち、
CDのセットアップである。
最初に掛けたのは気に入りの「さよならは突然に」。
アップテンポに小気味よいスタッカート、好きなんだよねェ。

ハイ、また寄り道であいすいません。
くだんのピーナッツがコレ  
まっ、何の取り得もない一皿ながら
確かにニンニクは効いていてT原氏はことのほかご満悦。
こちらはただ、ただ、ご同慶の至りと
真向いのシアワセを祝福するほかに手立てがない。

黄ハタ、いまだ蒸し上がらず。
そこで焼き餃子を一人前所望する。
この店では餃子もまた自慢料理なのだ。

=つづく=