2017年12月4日月曜日

第1757話 谷中でちょい飲み3軒 (その6)

谷中よみせ通りの「花いち」。
ビールの友にテッポウとレバーを食べたところ。
品書きにはチヂミなんてのもあり、
コリアン色がうかがわれた。
串をバカスカ注文するわけにもいかないので
店主一人に客一人、ちと重苦しい空気が立ち込める。

しばらくして子連れの三人家族が入店して来た。
何となく救われた感じのわれわれはホッと一息つく。
それにしても今日は子連れ三人組に縁があるな。
さっきは女の子だったが今度は男の子だ。
まっ、ベツに言葉を交わすワケじゃないから
どうってことはないんだけどネ。

父親がいきなり豚バラ串を各自2本づつ計6本注文した。
聞くともなしに聞いたJ.C.、顔には出さぬが
(ゲッ、オール豚バラでっか?)
胸の内でつぶやいた。

流れてくる一家の会話から推察するに
両親と息子ではないことが判明する。
言葉遣いや年恰好からして
これは60代と見受けるオヤジさんに
たぶんせがれの嫁さんと彼女の息子、
オヤジさんにとっては孫なのだ。

焼酎ボトルをキープしているくらいだから
オヤジさんは常連であろう。
店主との会話にも和みが見てとれる。
しかし、焼きとん主体の店なのに
いっこうにモツを頼まない。
代わりというわけでもあるまいがチヂミをオーダーした。

短時間で手際よく焼かれたチヂミを
孫がパクパクやっている。
珍しい組合わせのトリオながら
店内に平和な空気が流れ始めた。

続いてこれもまた常連らしき二人組が入店。
スーツ姿のサラリーマンだ。
こちらはビールとともに何種かの焼きとんを注文。
そうだよネ、ここのモツはなかなかだもの。
彼らのおかげで勘定しやすいシチュエーション。
機を逃さずの支払いは2500円でオツリがきた。

昼間はそれなりの客を呼び寄せる力のある谷根千エリアも
夜の帳(とばり)が下りると人影が途絶えがち。
よって気の利いた酒場には恵まれない。
ましてや焼きとんを商う店舗はほとんどないに等しい。
あっても焼き鳥屋ばかりなのだ。
そんな中でよみせ通りの「花いち」は使える。
再訪はアリですな。

=おしまい=

「花いち」
 東京都文京区千駄木3-37-12
 03-3827-8562